第49回定例会 10月13日(火) :青山メトロ会館
                         
 

分科会「パーソナルコンピューター再考」 第2回ワークショップ「パソコンの現状と課題」

講師: NECパーソナルコンピューター事業戦略室長 高須 英世氏

 マイコン時代を経て、IMBの「PC」が登場すると本格的なパーソナルコピュ ーターの時代が始まった。16ビットCPU、MS−DOSでハードウエアとOS が標準化され、はじめは表計算や初期のパソコン通信に利用されるていどだったの が、ここで飛躍的にアプリケーションが増え、パソコンの使い道が多岐にわたるよ うになった。ただし、この時代はまだハードウエアごとのアプリケーションで、ア プリケーション間の互換性はなかった。  32ビットCPUで表計算、ワープロ中心、ウイドウズ95によるOSのデファ クトスタンダード化が進むなかで、ここ2,3年はキラーアプリケーションとして インターネットが登場、またクライアントサーバーが普及して企業の基幹業務にパ ソコンが使われるようになった。専用端末の世界にパソコンが入ったことは非常に 大きな変化だった。  こうしてパソコンは現在、企業の業務や個人の家庭生活のライフスタイルに大き な変化をもたらしている。パソコンによって自分の好きなことはなんでもできる、 魔法の箱が実現したといってもよいだろう。  もっとも、最近のウインドウズ95からウインドウズ98へのモデルチェンジで も、「プラグアンドプレイ」ということば通りに、面倒だったパソコンの設定が比 較的容易になったとになっているが、絶対的にに容易になったかといえば、前の時 代に比べたら容易になったということで、十分じゃないいろいろ問題も残している。  そこでパソコンの課題について。  インターネットはパソコンでできるらしいと考えても、一般にはだれに聞けばい いのか分からない。まず、ここに問題がある。調べるほどに「モデム」「オンライ ンサインアップ」とだんだん難しくなっていく。分からないことがいっぱいある。  会社の中では詳しい人がいるが、家庭では聞く人がいない。普及上の問題を日米 比較してみると、まずキーボード。タイプライター文化のアメリカにくらべ日本は なれていない。次にパソコンの用語。「タイプ」「コピー」「デリート」「ホル ダー」「カーソル」など、むずかしい。はじめて遭遇する人はどういう感じをもつ だろう。  アメリカ人はパソコンのベースの部分に抵抗感はない(が、日本では、このベー スの部分が大きな抵抗になっている)。  パソコンそのものは、パワーの進化の中でもっと人に優しい進化をしなければな らないだろう。使いやすい進化が必要だろう。 われわれは、パソコンの商品を計 画している時に、人に優しい、使い勝手のいい、分かりやすいパソコンを、と考え ているが、パソコンというのはやはり、なんでもできる箱なのだ。パソコンは「汎 用」商品。使う目的がはっきりしないと、使い方がむずかしいといえる(ウインド ウズ95が出た時に、買ったパソコンが家でほこりをかぶっているといわれたりし たのもこれだろう)。  日本語入力システムがむずかしいというのも問題。最近はずいぶん進歩したが はじめての人には苦痛だ。  パソコンは日々進化し、新しい仕様が毎日でてくる。(なれる暇なく新しいもの がでる意味。)これが、パソコンのむずかしさの根底にあると思う。  それでは多くの方々が安心してパソコンを使えるようになるにはどういうアプロ ーチがあるのだろうか。ひとつは専用機。何の目的に使うかを絞ればやさしくはで きる。  弊社では「キャンビー」という機種で試みた。一体型、アイコンの大型化(ウイ ンドウズは小さすぎる)、シングルクリックに統一(ウインドウズはクリックの約 束が複雑すぎた)、メニューの簡便化、音声による指示、など初心者をターゲット にして開発した。専用機では、インターネット専用機も。ワープロはいわばワープ ロ専用のパソコンだが、パソコンのようなアップグレード機能はない。しかし年間 150万台の市場があるということは、パソコンの使いにくさを物語っているとみ る。パソコンの機能アップにその都度対応する専用機のありかたもあるのではない か。ゲーム機も専用機だ。  パソコンの使い勝手の軸足をどこにおくかである。インターネットかゲームか 専用化のアプローチも色々あるが、こういうこともやっていかなければならない。  汎用のパソコンもなくなるわけではないが、使い方のやさしいパソコンにするに は超えられない壁がある。  もうひとつはパソコンを教える人の教育もふくめた、パソコンの教育環境の整備 充実が必要ではないか。                                      以上  (報告 金澤 寛太郎)


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