
第46回定例会 3月19日 青山メトロ会館
演題:放送デジタル化の動向と問題
朝日新聞電子電波メディア局部長 阿部 和義
順天堂大学教授 篠原 俊行
デジタル化日程(阿部)
1.BS放送のデジタル化
*96年〜98年、パーフェクトTVをはじめとしてデジタルCS開始。
*BSは、97年3月デジタル化を決定、98年2月マスメディア集中排除の
見直しなど環境整備をすすめてきた。この6月の電監審答申後、受託放送
事業者を、9月には委託放送事業者を決定する。前者には4社、後者には26
社(6社に絞られる)名乗りをあげ、2000年春には放送開始の予定。20
07年の完全移行まではアナログと並行する。
*市場の基盤はNHKアナログBS1000万とWOWOW250万加入。
*1社200億円ほどの投資。資金計画では2005年まで赤字、2010年
には累積赤字を消すことになっている。
*デジタルBSの委託放送事業をめぐり、スポンサーがBS、CS組合せの品
ぞろえを求めているところから、横並び競争となり、地上波TVの新聞系
列ネットワークと同様の形となった。
2.地上波TV
*今夏、暫定方式を策定、秋に実験局の電波が発射され、年末にチャンネルプ
ランが決まる。2000年の放送開始へむけて、マルチメディア・サービ
スの開発、実験がつづく。
*1社500〜1000億円の投資が必要で、各社の経営は正念場を迎える。
*
BSデジタル導入にむけての問題点(篠原)
1.基幹的放送メディア
現行制度で「基幹的放送メディア」として厳しい規制下にある地上波TV
は、放送系とその周辺の新メディアによって、「基幹」まで機能、役割を代
替される。ことに割安な コストで全国汎用型のBSの普及は、地上波のネッ
2.公共放送事業のNHKの機能、役割もまた一般放送事業への参入によって
代替されていく。技術の開発・導入の先導的役割を含め、公共放送固有の役
割、機能が問われ、NHKはスリム化をもとめられよう。
3.参入規制緩和にともなう競争の激化は、多様なサ−ビスの可能性をゆたか
にする一方、法的規制を含む内容規制問題をひきおこしている。また国際資本
の系列化、巨大資本の進出が言論、表現の多様性、多元性の確保との調整とい
う新たな課題を生んでいる。
ものBS民 放が成り立つのか。地上波は広告媒体としての競争力を失うので
はないか。広告財源の 20〜30%もすいあげられれば損益分岐点を割ると
ころもでてこよう。BSも地上波 の放送スタイルを超えた柔軟な番組編成が
できるだろうか。
5.ハードの多様化に対応するソフトのイノベーションが必要だ。早期普及に
はキラ−ソフトが不可欠だが、地上放送ソフトからの流用や、サイマル体制
期間は同一内容となることもありうる。
質疑・意見交換
PC搭載・賢いTVはどうなった
重い双方向と軽い双方向
ウェブTVは上昇カ−ブ
ボード抜きの操作性
TVの見方が変わらねば
ハイビジョンの問題
国際系列化と文化の多元性
事業者の経営責任
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