荻元晴彦

第43回定例会 9月26日 プレスセンターホール
私のプロデューサー論
テレビマンユニオン会長 萩元晴彦
予めお断りを。
とりとめのない話でも、とつとつとした語り口でも、あるいは常識をはずれた話題でも
心ゆさぶるときがある。
そんなゲストのお話は、リポートするにも、感動を伝えるほどの筆力はない。が、伝え
られるものでもないだろう。
ベンヤミンは、「いま、ここにしかない」1回性を、風、香り、輝きを意味するラテン
語の「アウラ」ということばで表現した。演者と観客・聴衆、舞台とフロア、オリジナル
の絵がつくられているとき、その同一の時空間を共有するなかで、波及し、交錯し、火花
を散らして舞い上がる魂の波動だ。
この相互作用は、コピーではもちろん消える。会報もよし、ホームページもよし。だけ
ど、定例会の会場に足を運んで、参加してみてください。「アウラ」を、ひとりでも多く
のひとと分かちたいのです。
故・小谷正一という希代のプロデューサーを共通の師匠とした縁で来ていただいた萩元
さんのお話も、久しぶりに(というのが、いかにも残念だけど)こころゆさぶるものだっ
た。「やっぱりいいねえ。現場に人生かけたプロの話ってぇのは」などと、当日の二次会
まで余韻さめやらずだった。
おまけに長野オリンピックのことなどは、激しい報道合戦のなかで、オフレコ部分がい
くつもあった。
というわけで、今回の定例会報告はきわめて断片的となります。オリンピックが終われ
ば萩元さんのプロデューサー論が出版されるはず。楽しみにしましょう。
(平松 斉)
[長野オリンピック]
* シニア・プロデューサーを引き受ける条件は、もはやエンターテイメントの時代で
はなく、ピュア・シンプルなものとすること、重要なのは人間、スポーツ、選手だという
視点。
*開会式の企画は、大相撲の力士、善光寺と世界5大陸の鐘の音と映像、諏訪大社の御
柱の建立、一校一国運動の小中学校生、場内一周の選手団、聖火。長野県文化会館と
世界5都市での第九シンフォニー、そのための衛星回線のタイムラグ・アジャスター
開発。
[プロ魂]
*小澤征爾のクオリティ追求− メダル受賞の国歌は全参加国国歌を演奏、録音(CD
で発売されるとか)
*旅にも膨大な資料、勉強。初演の6時間オペラも暗譜。
*プロとしての1日。
*いかなるときでも全力を。
[音楽ホール]
*「佐治さん、あなたが死んだらこの(サントリー)ホールはどなるのですか。」
*なにをきいても「ちょっとお待ち下さい。」はやめよう。「いらっしゃいませ」
ホールにしよう。ワインも飲んで。
*クラシック音楽人口1%。そこへ6ヶ月に70の演奏会。だがオープニング後10ヶ
月で50万人突破。「別の蛇口を」
*「オーケストラがやってきた」の10年、音楽人口増加。
[プロデューサーとは]
*目的、期間、報酬、責任、権限、すべてあいまい。
*「ダンナに金を使わせるのがいい芸者」
*大事なのは「フィロソフィー」と「恋すること」
*ほんとうにやりたいことをやろう。会社の経営危機、93歳のカザルスにあいにいった。
*つきうごかされるもの。「あらゆる新しいこと、美しいこと、すばらしいことは、ひとりの
熱狂から生まれる。」
*みずからの仕事を尊敬し、それに献身できるスタッフを集められるか否か。
*求人広告「魂のふるえる仕事ですが、人使いは荒いですよ。」一人に百人応募。
[テレビマンユニオン]
*TBSから13人の集団退職。退職金を資本金に。
*選挙で役員、互選で社長。
*出来高報酬制との選択制。