ごあいさつ

ごあいさつ

理事長・医学博士 前田 賢吾

 地域医療は今、かつて経験したことのない厳しい局面に立たされています。 急速な高齢化、人口減少、医療従事者不足、そして医療費抑制政策の中で、病院経営そのものが成り立たなくなりつつある現実があります。 それでもなお、地域に病院が存在し続ける意味とは何か ── 私たちは、その問いから目を背けることなく、日々の医療に向き合っています。
 地域医療の現場は、新型コロナウイルス感染症の流行をはじめ、これまでにない大きな変化の中に置かれてきました。 感染対策と通常診療の両立、医療提供体制の見直しなど、医療機関には柔軟さと持続力が求められる時代となっています。 そうした経験を通じて、私たちは改めて「地域に根ざした医療を守り続けること」の重みを実感してきました。
 当院は1970年、書写市営住宅団地の新設を契機に書写台の丘陵地に開設され、1981年に特定医療法人財団清良会として改組しました。 以来、外来・入院医療に加え、健診、リハビリテーション・通所リハビリ・訪問看護・居宅介護支援など、 医療と介護が連携する体制を整えながら、地域の皆様とともに歩んでまいりました。 現在は地域包括ケア病棟および医療療養病棟を有し、市内の急性期・高度専門医療機関での治療が落ち着いた 患者様を受け入れる後方支援病院としての役割を担っています。 急性期を脱した後も、患者様には、医療的管理やリハビリテーション、療養環境の調整など継続した支援が必要となる場合が少なくありません。 当院では、亜急性期から慢性期にかけての医療を担う受け皿として、次の療養の場、そして、その先の生活を見据えた医療の提供に努めています。 また、医療依存度が高い、あるいは社会的背景が複雑で受け入れ調整が難しい患者様についても、 地域で支える医療を途切れさせないため可能な限り対応する姿勢を大切にしています。 さらに当院では、入院医療のその先を見据え、在宅医療にも力を入れています。 訪問診療・訪問看護・訪問リハビリテーションを通じて、病院と在宅が切れ目なくつながる体制を整え、 住み慣れた地域やご自宅での生活を支えています。 急性期医療機関、当院、そして在宅へと続く医療の流れを大切にすることが、これからの地域医療に欠かせないと考えています。
 医療を取り巻く環境は厳しさを増していますが、その中でも当院では、多職種が連携し、それぞれの専門性を生かしながら、 地域に必要とされる医療機能を維持・発展させる努力を重ねています。患者様にとって安心できる医療を提供することはもちろん、 共に働く職員にとっても、やりがいと誇りを持って働ける職場でありたいと考えています。 当院は、患者様、ご家族、地域の医療・介護に携わる皆様と信頼関係を築きながら、地域医療の一翼を担い続けます。
 これからも「地域の皆様に共感と信頼を」という創設理念のもと、変化の時代にあっても揺るぐことなく地域に必要とされる医療を提供してまいります。 今後とも変わらぬご理解とご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。