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2000/10
第5回
浄楽寺
芦名2-30-5 TEL56-8622
○阿弥陀三尊像(国指定重要文化財)
○不動明王立像(国指定重要文化財)
○毘沙門天立像(国指定重要文化財)

阿弥陀三尊像
阿弥陀如来を中心に、向かって右が観音、左が勢至の両菩薩
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この寺は、横須賀周辺だけでなく関東一円でその名を知られている。それは本尊の仏像が、鎌倉時代の高名な奈良仏師・運慶の作であるからだ。
1926(大正15)年に国宝に指定されたが、1950(昭和25)年の文化財保護法の制定により重要文化財になった。しかし、その後不動明王、毘沙門天の胎内から銘札が発見され、三尊像とともに1189(文治5)年の運慶の作と判明、重文としてその価値はいっそう高まりつつある。
運慶は、奈良・興福寺に属する仏師・康慶を父に生まれ、東大寺や興福寺の復興にかかわり、南都(奈良)を中心に数多くの仏像を製作した超一流の仏師で、東洋のミケランジェロとも称せられる。国宝に指定されている奈良・円成寺の大日如来像もその一つで、運慶二十代の作品だ。
浄楽寺の阿弥陀如来像をはじめとする仏像は、鎌倉幕府の実力者・和田義盛(三浦義明の孫)の依頼により、運慶を棟梁とする10人の小仏師によって製作されたものである。
夏の暑い昼下がり、仏像拝観に伺った。本堂裏の収蔵庫の鉄の扉が開けられると、ヒンヤリとした空気の中、阿弥陀三尊像を正面に、両脇の不動明王、毘沙門天が向かい合って並び、重量感のある5躯の仏像が我々を圧倒する。
ひときわ大きな阿弥陀如来と両脇侍の観音、勢至菩薩の三尊像。そして、その左右に三尊を守るがごとく、毘沙門天が邪鬼を踏み、不動明王が怒りの形相で睥睨(へいげい)している様は、まさに迫力あふれるものだ。
いずれもヒノキ材の寄木造、三尊像は彫眼、他の二像は玉眼入りで、運慶壮年期の作といわれる。
浄楽寺の諸像は、非公開が原則のため拝観したい方は、事前に寺に連絡が必要。ただし、雨の日は拝観出来ない。
なお、年に2回、3月3日と10月19日に一般に公開される。

毘沙門天立像
不動明王立像

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2000/09
第5回
三浦半島東部の貝塚
○吉井貝塚を中心とした遺跡
(県指定史跡)
○茅山貝塚(県指定史跡)
要所に説明板と擬木を配置し、きれいに整備されている吉井貝塚
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JR久里浜駅から国道134号線を北に歩き、平作川を渡って最初の信号を右に入る。吉井川と京急のガードを通過すると左手に見える小高い丘が吉井貝塚だ。
縄文時代、この台地の下は海水が入り込み、今のJR衣笠駅付近まで海だった。これを古久里浜湾と呼ぶ。
縄文人たちは、この台地に竪穴式の住居を造り、海で貝や魚を捕り、裏山で山菜やオニグルミなど木の実を採取した。また、シカやカワウソなど動物も捕食していた。その人たちが捨てた貝殻などの生活残滓(ざんし)の堆積地を後の人たちは貝塚と呼んでいる。
吉井貝塚を中心とした遺跡には、2bに及ぶ縄文早期から後期までに堆積した複数の貝層がある。貝殻のほか、魚や動物の骨、さらに鹿角や獣骨で作られた釣り針やヤス・モリ先、土器・石器などが多量に出土し、縄文人の食生活や生活様式のほか、魚介類や動物の獲得手段までが分かってくる。縄文人たちの食生活は意外と豊かで、栄養バランス満点だったようだ。
また、縄文前期・中期の住居跡も確認され、大きな発掘成果を得た場所である。
台地の端に立つと、平作川を中心とした内川新田が一望に見渡せる。縄文人になった気分で眺めると、まるで眼前に古久里浜湾が広がっているように見えて面白い。
茅山貝塚は、この海(内川新田)を隔てた南西約800b先の対岸にある。吉井貝塚同様、小さな台地の先端にあり、茅山バス停から慈眼院への急な石段を登りきり、院の裏手にあたる場所だ。吉井貝塚と同時代頃形成されたものらしい。
貝塚のある場所は、今は畑になっており、1枚の説明板があるだけでほかには何もない。しかし、ここから出土する土器は、縄文時代早期のものでありながら縄文が少なく、アカガイなどの背で仕上げた貝のすじ跡がついているのが特徴で「茅山式土器」と呼ばれ考古学上重要な意味を持つといわれる。 両貝塚とも県の史跡に指定され、吉井貝塚の台地は、平安末期、三浦一族の怒田(ぬた)城があったところでもある。人影も少なく、静かな雰囲気に包まれた史跡で、興味のある人なら一度は訪れて見たいところだろう。
茅山式土器(深鉢形土器)
横須賀市自然・人文博物館所蔵
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2000/08
第4回 天神島
○天神島、笠島及び周辺水域
(県指定天然記念物及び名勝)
○ハマオモト(県指定天然記念物)

ハマオモト(ハマユウ)は横須賀市の花
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ハマオモトは南方系の海岸植物で、この天神島のものが日本における自生の北限地とされ、1953(昭和28)年、県の天然記念物に指定された。ハマユウ(浜木綿)という、ゆかしい別名もあり、横須賀市の花として知られる。
島南側の自生地に行ってみると、狭い場所に数十株のハマオモトが数株ずつ肩を寄せ合っていた。まるで、黒潮に乗って運ばれた南洋の種子が、この寒い北の島で根付き、必死に生きているように見える。
ゲートを通るとすぐにハマオモトの群生が見えるが、これは自生の一部を移し増殖させたものだ。7月から9月までが花の時期で、今8月が最盛期である。
天神島・笠島及び周辺水域。冬場には遠く富士山が望める
(天神島臨海自然教育園パンフレットより)
一方、1965(昭和40)年、新たに県がこの天神島、笠島及び周辺水域を、天然記念物及び名勝に指定した。それは、ハマオモトやハマボウに代表される海浜植物以外に、多種にわたる海藻や昆虫、海鳥、海岸動物、さらには地層や岩石に至るまで多彩で貴重な自然の宝庫だからだ。
さらに、この地から眺める美しい風景が素晴らしい。特に、冬場の視界のよい時期には、長者ヶ崎から始まり、相模湾の対岸の江ノ島、丹沢・箱根山塊、富士山、伊豆の山々そして伊豆大島に至る一大パノラマが見渡せる。まさに名勝としてふさわしい地だ。指定された同年、市自然博物館付属の臨海自然教育園がこの地に開園、自然教育の場が広がった。昨年夏からビジターセンターも開設されている。
冬期以外は、何時でも何らかの花があって来島者を楽しませる。海藻など磯観察には干潮が昼となる4月から6月頃がベスト。夏は、カップルや親子連れも多く、幼児が岩場で蟹を探す光景も見られる。野鳥の観察は海鳥が飛来する秋から冬にかけてが最適である。大気の澄んだ冬場は、スケッチや写真の季節でもある。
この天神島の自然海岸を楽しむ人は、年間25,000人を超える。
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