本の保存状態については、できるだけ美本を目指しておりますが、和本などはますます枯渇しており、ある程度の痛みはやむをえません。
また古書の場合、多くは一度人手にわたった本ですので、新品同様とはいきません。美本をそろえるように努力はしていますが、どこかに痛みや汚れは出てしまいます。当店の目録では、そのうち、とくに気になるようなところがあれば欠点表記をしておきます。
およそ次のような基準で記しました。ご注文のさいにはご承知おきください。
▼和本などの場合
- 少虫損→
若干の虫害があるものの、文字を読むのに差し支えない程度
- 虫損→それ以上に虫害があるもの。なるべく取り扱いません
- 虫損補修有→
裏打ち、虫直しなどのきちんとした補修をほどこしてある本
- 入れ本→異なった刷りの本を入れあわせて揃えた場合をさします
- 合本→本来の冊数でなく、いくつかをまとめて製本したもの
- 補写有→印刷部の欠けたところや落丁分を手書きで補写した箇所のあるもの
- 替表紙、替題簽→和本ができた当時のまま保存されていれば(原装)申し分ありませんが、長い間に旧蔵者によって改められることがほとんどです。とくに表紙や題簽が元のままのときは原表紙、原題簽と表示します
- 墨汚れ→いたずら書きのように墨のついてしまった箇所がある場合です
一般に墨付とあるときは、写本で文字や絵などが書かれた丁をさします
- 中巻欠→上中下3冊のところ、上下だけで残ってしまうことがあります。このほか、前後や途中の巻が欠けているときは、その旨明記します
- 後刷、近代刷→本の奥付は元禄となっていても、実際に刷られたのは
江戸後期なってからということはよくあります。刷りがあきらかに後世のものときは後刷を、
それが明治大正まで下るときは近代刷と記しておきます
後印、文化3年印というように印を使うこともあります
▼書籍全般にわたる場合
- 洋装本の書き込みは欠点ですが、和本の場合、近年の書き込みでないかぎり、書入と表示しています。これはむしろ価値を高めると考えます。
- 赤線有 線引有文字以外でボールペンなどで線を引いた書き込みがあればその旨、注記します
- むれ有→湿気の入ったもの
- 製本のゆるみ→湿気が入ると糊がはがれ、製本までゆるんでしまうことがあります
- 背痛、小口汚れ→とくに痛みやすい表紙や外観上の汚れがあるときはその場所を記します。日焼けのときは背やけ有などと表記します
- しみ有→湿気その他でしみ状の汚れがあるもの
- 汚れ有、墨汚れ有→手垢、日焼け、墨などで汚れた箇所のある本
- 痛み有、破れ有→本の角などが破れていたり、表紙などが痛んでいるもの
- 疲れ有→本も時代を経ると疲れてきます。そのため保存状態がよくないもの
- 落丁・乱丁→製本過程で1丁(多くは16頁単位)抜け落ちたもの、前後したもの。ページが抜けていることがわかったときはその旨記します。
- 切り取り有、奥付切、見返欠→ページやページ内の部分が切られるなど欠けているもの。付録欠、付図無も表記します
- 改装→オリジナルでなく、製本しなおしたもの
- 函無、外箱無、函壊れ→新刊で出たさいについていた函(箱)がない、あるいは壊れてしまっている場合。カバー無というのもあります
- 印有→本に旧蔵者の印が押されているとき。それが会社印、個人研究費印のときもあります。大学や公共図書館の印があるものは扱いません。ただ公式に廃棄された旨しるしてあれば廃棄印有などと書いて扱うこともあります
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