和本
をたくさん見ていると、なぜ? どうして? という疑問がたくさんわいてくる。
それを解明していくと、なるほどと目から鱗の落ちることが多い。
そのなかから、人はどうして本を出したいのか、どうして本は捨てられないのか、日本人はなぜ本好きなのか
といった問題にふれていくと、その大半は江戸時代のうちにできあがった観念だったことに気づく。
和本がどのようにつくられていくのか、その工程から当時の原価を調べてみたり、本屋たちが集団で活動していくさまを知ることなどからも、本を考えていく当時の人のメンタリティーが見えてくる。
すると、当時は本をつくるところから、売る、読むすべての過程で、一貫して共通の書物観があって、それが次々と伝えられていったことがわかった。
書物は、書かれたものとしてだけ見ては本質にせまれない。それを読み、後世に伝えるところまでの長いスパンで考察するべきだろう。本書では、そのような見方から、その一端を紹介した。
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