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8月31日よ永遠に
卒業生 鶴野 巨樹(16期生)

 
 
 
夜中突如鳴るケイタイの着信音。

熟読していた漫画の手を止め、その時が来たのを知る。

 ― M だ ―

 僕の体は一時の快楽から一転し、重苦しい不安感につつまれる。

机の上のケイタイはMからの着信音を告げながら、僕の気持ち

とは裏腹に規則正しく震えつづける。

 ― 居留守を使おう ―

 そう決めた。

ケイタイの横にあるノートは ほぼ白紙。

わずか登場人物の名が 三つばかり。

セリフも ト書きも プロットも

無い。

タバコに火をつける。

 ― 長いな ―

 半分まで吸い終わった所で やっと

電話が切れた。

今ごろは留守番電話サービスセンターの

機械的な女性の声を

奴は耳にしているに違いない

 さてと、

今から徹夜で何とか形だけでも仕上げよう

タバコをもみ消した所で、今の状態とよく似ている

非常に 非常に よくない

イメージを

お も い だ し た。

  ―これじゃ8月31日の高校生と同じだ―

 人は何度同じ過ちを繰り返せば良いのだろう。

思えば 高校時代の3年間は 宿題との闘いに明け暮れた3年間だった。

長期休みの宿題。テストごとの提出物。等

数え上げたらきりがない。

でも、闘いばかりの3年間じゃなかったな。

何かにつけて、友人の家夜中まで騒いだり、

文化祭のたび、クラスの誰かに恋したり、....

なんて考えると、憩いのオアシスも

結構あったなんて思うっていうかありまくった様に感じる。

オアシスに居座っているうちに

闘いは激化していくんだな〜

そこまで考えた時、

甘美な思い出を引き裂くかのように

ケイタイの着信音が.....

  

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