ネガかリバーサルか

●ネガカラーとリパーサルスライドとプリントの相関関係

右図に図解したように、現在のカラーフィルムはネガとボジの二本立てである。ネガカラーは、フィルムを現像すると明暗と色が逆になり、現在のものは全体に淡いオレンジ色をしたカラーネガができる。これを、ネガ・ポジ用カラーペーパーに焼き付けると正常なカラープリントがつくれるが、Fコースのように、専用フィルム(カラープリントフイルム、カラースライドフイルム)に焼き付けるとカラースライドにもでき、Eコースのようにモノクロ用印面紙(通常の印画紙でもプリントできるが、感色性のよいパンクロペーパーがよい)にプリントすれは黒自写真にすることができる、一本一二役のフィルムである。

一方、リバーサルは撮影して現像すると、撮影したフィルム上に直接透明なカラーポジ(カラースライド、カラートランスパレンシー)ができる。そのカラースライドは撮影で直接的に得られるので、撮影が正確であれは、仕上がりはなによりもシャープで色の再現性もよい。
このカラースライドからのプリントは、図のように一般の方法としてはBコースとCコースがある。

従来はBコースのように、スライドからいったんインターネガと呼ぱれるカラーネガをつくって、ネガ・ボジ用カラーぺ−パーにプリントされる場合がほとんどであったが、最近はCコースのようにチバクローム、フジCBプリント、エクタクロームペーパーなどのポジ・ポジ用カラープリント材料(ボジカラーペーパー)にプリントする方法が普及している。このCコースでは、インターネガなしに直接的にプリントできるので、Bコースより色画像もシャープで色再現性もよいが、プリント代は高価である。

Bコースは一般的にみると不評のようであるが、その大きな理由はインターネガの製作とプリントが雑だからといってよいのではないか。インターネガは6X9判、4X5判といった大型のインターネガをつくれば、35ミリのスライドからでも、かなり優秀なプリントができるものである。最後に、最高のプリントはDコースとされる。このダイトランスファープリントは処理工程が複雑で、高度な技術と手間を要するので現在では稀にしかおこなわれていないが、プリントとしては最高のもので、一般の発色プリントとは比較にならないほど色の耐久性もよい。これはカラーネガからでも、スライドからでもつくることができる。

●プリント用のネガカラーの長所と短所

カラーフィルムの歴史はリバーサル(一九三五年コダクローム)からスタートしたが、このネガカラーの出現、いいかえれぱモノクロと同様に、撮影によってまずフィルムにネガをつくり、プリントによってポジをつくるというネガ・ポジ法の実現によって、はじめて今日のようにカラー写真が一般に広く普及するようになったといってよい。

その理由は、まず第一に撮影の失敗が少ないこと。撮影光源の色温度がフィルムに合わなくてもプリントで補正がきく、そして露出が多少(オーバーの方ではかなり)狂ってもやはりプリントで補正ができる。つまり、色温度のラチチュード、露出のラチチュードともにリバーサルに比べるとはるかに広いので、l-2絞り程度の露出の誤差はまったくといってよいほど問題にはならない。したがって、モノクロ同様に気軽に撮影ができる。

第二に、質のよいカラープリントが安価にできる。反射光でみるプリントは、スライドのように映写機を用意し部屋を暗くするといった用具や手間もかけず、いついかなるときも手にとって、あるいはアルバムを開けるだけで鑑賞ができ、額に入れて展示することもできる。もちろん、カラープリントはカラースライドからもつくれる。しかし、高価で、一般的には質もよくない。
質がよくない理由の第一は、はっきりいってカラースライド原板そのものの質がよくないからである。なぜよくないかというと、リパーサルフィルムのラチチュードがきわめて狭いため、プリント向きの適正なスライドづくりが非常にむずかしいからである。その点ネガカラーは、たとえばリバーサルで2絞りオーバーではどうにもならないが、ネガカラーではプリントしだいでノーマルネガと同じプリントができる。また、電灯光撮影でフィルターをつけないで撮影しても、ノーマルなプリントがつくれる。この失敗しない、何とか写るということは非常に大きな特性なのである。写真は、写っていなければ話にならないからである。

また、ネが・ボジ方式には、さらに原板が残るという大きな利点がある。リバーサルでは一枚ぽっきりで、カラーポジをキズつけたり、紛失したらそれでおしまいである。印刷界では、そのためのトラブルが絶えない。では、スライドからデュープ(複製)をつくれぱよいとはいえ、デュープするにはプリント代がかかり、色も調子も、またシャープネスが悪くなる。その点、ネガ・ポジ方式ならカラーボジがいくらでもつくれるとともに、カラーネガはモノクロネガ同様に保存でき、そのようなトラブルは生じない。
しかし、長所あれぱ短所ありで、ネガ・ポジの場合は仕上がりはプリントしだいで色も濃度も変わってくる。ネガが同じでも、注文するたぴに青っぽくなったり赤っぽくなったり、まるで七面鳥のように色と濃度が違ってくる。

要するに、一般の外注プリントでは、意のままの仕上がりを望むことはかなりむずかしいといってよい。その理由は簡単であって、撮影時の色温度や露出にバラツキがあっても救えるということは、撮影時の色温渡や露出をいかに正確にしても、必ずしも正しくプリントされるとは限らないということになるからである。一枚の原板はモノクロ原板と同様、いやそれ以上に多様にプリントできるという特徴が、かえって欠点となってあらわれることが多いのである。要するに、ネガ・ボジではプリントというプロセスが撮影と同様、あるいはそれ以上に非常に大きな比重を占めることを知っておかねぱならない。



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