正常な調子のカラーポジ(カラースライド、カラープリントとも)は、画面内に写し込まれた黒から白の無彩色の段階(グレースケール)が、図1−4の1のようにYMCの色画像が3つともそろって発色している。いいかえれぱ、このようにYMCボジともに、写したグレースケールのすべての段階かフィルム上あるいはぺ−パー上に、適度な濃度とコントラストをもって発色したときに、対象物の色が正常に再現的に記録できる。そのため、グレースケールは、発色の良否をはかるものさしになるわけであり、複写のような場合にはしぱしぱこれを画面内に写し込んで、濃度、カラーバランス、コントラストなどの検討や判定に使われる。
各乳剤層の光のスペクトルに対する分光感度は製品によってそれぞれ異なるが、だいたい図1−5のように、基礎編で示したCIEの眼の刺戟値曲線とは違ってカーブの山が離れていて、すその方で互いにオーバーラップしているのが特徴で、これは色相の再現と無彩色の描写をよくするためだとされる。昼光用と電灯光用では、あきらかにカーブが異なるものもあるか、分光感度そのものはほとんど差のないものもあり、乳剤の厚さや発色色素(カプラー)との関係もあって、そのメカニズムはかなり複雑のようである。
リバーサルでは、指定の正しい光源で写しても露出が多いと画像全体が淡くなるのは、第一現像によってネガが過度に現像されすぎ、発色するカラーポジが図1−4の2のようになるからである。つまり、ハイライトの調子がすっとんでなくなり、シャドウも濃度不足になる。3は露出不足の場合であり、ハイライトも濃度過多になり、シャドウのトーンがまったくでなくなる。
撮影光源の色温度が適切でない場合や、また厳密にはカラーフィルムによって、また現像処埋によって、またシャッタースピードによっても、カラーバランスは崩れる。図1-4の4は、YMCの順序で濃度が低い場合である。たとえぱ、昼光用フィルムを電灯光で写したような場合は、このようになって全体が黄赤っぽくなるわけである。カラーバランスが崩れる場合には、LBフィルターあるいはCCフィルターで補正すればよいわけだが、同図5のように3つの感光乳剤のコントラストか崩れると、ハイライトの色はそう悪くはないか、ハーフトーンからシャドウにかけて黄赤方向にバランスが崩れることになる。また6のようになると、ノーマルな色はハーフトーンの一部でしか得られず、ハイライトでは青っぽくシャドウでは黄赤っぽくといったように、カラーバランスの崩れ方がハイライトとシャドウで違ってくる。
5とか6は、フィルム自体に欠陥がある場合、保存や現像処理がよくない場合にも生じるが、このようにコントラストが崩れるときは、もはやフィルターを使っても補正できない。つまり、ハイライトを補正するフィルターを使うとシャドウが、シャドウを補正するとハイライトがさらに大きくカラーバランスが崩れることになるからで、これらはどうにもならない。ただ、画面をハーフトーンを主体に構成すれば、こうした欠点は目立たなくなる。いいかえれは、ハイエストライトからディープシャドウまで、フルトーンをだすということはカラーの場合もむずかしくなるということである。
ネガカラーの場合、フィルムは写したグレースケールとは、明暗関係が逆のカラーネガができる。リバーサルの場合と同様、発色するYMC三つのネガは濃度およぴコントラストがそろったネガに仕上がることが望まれるわけだが、図1−6の1のように多少のバラツキが生じても、プリントでYMCポジか正しいパランスをとるように補正すればよい。もし、ノーマルなネガをプリントしてそれが正常に発色するとき、1のようなネガを固一条件でプリントするとYネガは濃いからYポジは淡くなり、Cネガは淡いからCボジは濃く仕上がる。そこで、フィルターを使ってY濃度をあけ、C濃度を下げれば、2のようにYMCボジのバランスをそろえることができる。| RW products |
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