カラーフィルムの発色と色の鮮やかさ、色再現性について
ひと昔まえと比べると、最近のカラーフィルムは驚くほど発色性能がよくなり、最近ではどちらかというと、鮮やかすぎるきらいがあるといえる。かつては純な赤が黄赤に、新緑もくすんだ緑に色が歪み、とくにカラープリントでは、澄んだ色というのは望むべくもなかったものである。

もちろん、今日でもカラーフィルムに対する不満はよく聞かされる。とくに、厳密な色を再現的に描写しなければならない商品撮影など、コマーシャルに多いようであるが、もうすでに述べたように、色は単独では存在しない。そして、その色が置かれる背景の色や、隣接する色によって多様に変化して見える。ということは、カラーフィルムの発色性能そのものが変わらなくても、色の対比効果など、配色や色彩構成によってフィルムの発色のみかけの色は著しく違ってくるということである。

1本のカラーフィルムを写してみると、美しい写真は数枚もあれば成功の方であろう。しかし、フィルムそのものの発色性能は、実はどのコマも変わりはないことに注意したい。つまり、フィルムの発色性能さえよければ、美しい鮮やかなカラー写真が約束できるというものではなく、むしろ色彩構成しだいで決まるといっても過言ではないのである。美しいカラー写真をつくるには、フィルムの研究も必要だが、それ以上に色の生理的、心理的な性質を研究するとともに、優れた絵や美しいカラー写真の配色や構成を勉強することが、より重要だということにつながる。
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