進出後退 膨張収縮感
灰色を背景にして、同じ大きさの色紙を並べて見ると、黄色や明るい赤系統の色は他の色よりも手前にあるように進出して(とびだして)見えると同時に、ひとまわり大きくふくらんで見える。それとは反対に、青系統の色は後退して(ひっこんで)見えるとともに、赤よりも小さく感じられる。

このような進出後退膨張収縮感は、眼のレンズの色収差にもとづくものとされている。つまり別項で述べたように、波長の短い青系統の光は屈折が大きく、中間的な光である緑色光よりもレンズに近い側に焦点をつくる。その焦点をつくる位置は、遠距離にあるものがつくる焦点と同じであるため、青系統の色は遠くにあるようにひっこんで見え、遠くにあるがゆえに小さく見える。

一方、赤系統の光は波長が長いために屈折が小さく、緑色光よりも後方に焦点をつくり、その焦点位置は近距離にある物体と同様な焦点関係にあるから、同一平面より進出視、かつ大きく見えるというものである。

いずれにせよ、黄、黄赤、赤系統の色は刺戟が大きく、とくに明るく鮮やかな色ほど他の色よりも大変目立ちやすい色でえあることを、十分心得ておく必要がある。
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