色の対比
組み合わせしだいで色相も彩度も変わる

このような対比作用は明暗だけでなく、色相と彩度に対しても同時的におこる。つまり、色も変わるということである。図5-6は背景に色を使ったものだが、図5-5同様同じグレーが、赤バックではシアン気味、緑バックではマゼンタ気味、紫バックではイエロー気味に、グレーが色味を帯びて見える。要するに、背景色とは反対方向(補色方向)に色がかたよる。黄色バックでは紫っぽいが、明暗対比も加わって暗く見える。

このように、同じグレーが背景の色によって変わるということは、カラー写真の場合はしばしばグレーで発色の良否を判定することが多いが、この例のように、正しく発色(グレー)しながらも背景色によって色がかたよって見え、また逆に、背景の色によって、本来グレーでない色がグレーに見えることがあるということに、よほど注意しなければならない。

そして、有彩色同士の場合は、色相も彩度も変化することになるわけであり、一般的にはこの例のように、背景色となる色の補色方向にかたよって見えることになる。 図5-7は彩度、つまり色の鮮やかさも背景によって変わる例である。同一彩度のものでも、彩度の高い鮮やかは背景ではより低彩度に見え、反対に彩度の低い背景ではより鮮やかになって見える。いいかえれば、色の鮮やかさも背景の色によって、かなり自由に変化させることができるということである。

そして、組み合わされる色が補色同士に近くなるほど、二つの色は互いに反発しあって両者ともに鮮やかな色になるなど、色はその組み合わせ方しだいで多様に変わる。色は単独では存在せず、きわめて相対的なものであることから、色の組み合わせひいては配色がいかに重要であるかということである。
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