色順応作用
このような自動調節作用は、光の明るさに対してだけでなく、色に対してもおこる。これは色順応と呼ばれる。同じグレーの色紙を図5-4のようについたてをたてて、一方はスカイライト、一方は電灯をつけて別々に照明すると、各反射光の分布は図のように変わって眼に入る。このように両者を同時的に比較すると、左側は青っぽく、右側は赤っぽく見える。後で述べる色対比の作用によって、両者は色が反発し合って、より大きな色の違いとして認められる。

しかし、このような比較をしないかぎり、眼は与えれる照明光を白色光とみなす働きをもっている。眼が慣れると、光源の色味は通常はほとんど感じなくなる。これは、スカイライトのような青紫色光の多い光源下では、眼の青紫色光に対する感度が低下するとともに、赤色光に対する感度が上昇し、反対に、電灯光では電灯光に多く含む赤色光に対する感度が低下し、青紫色光に対する感度が上昇するものと考えれば納得がいく。

眼では、このようにみるときの光源のスペクトル分布に応じて自動的にカラーバランスが調節されるわけで、光源が変わっても慣れれば色が変わったようには感じられない。

しかし、それがないカラーフィルムは、光源のスペクトル分布による色の相違が直接フィルムに影響を与える。ただ、ネガ、ポジ法、つまりネガカラーの場合はカラープリントという中間のプロセスで補正されるので、それほど結果に大きな影響は与えないが、リバーサルではその影響は直接的である。

そのため、光の強さを正確に知るには電気露出計が必要になるのと同様、本来、正確な光の色質を知るには電気的に光色(色温度)を見いだす色温度計(カラーメーター)が必要になってくるはずなのであるが、初期の電気露出計と同様、現在ではまだ普及はしていない。必要性がないというより、高価で入手しにくいということだと思う。
次の項目

RW institute of color and photography

Top Page   色再現関連製品   吸着システム   色のものさし