色の厳密な計算と取り扱い
CCフィルターは、それぞれ正確な分光透過率が表示されている。表4ー5はコダックのCCフィルターのデータである。コダックのCCの場合は、これをもとにつくった色の分光透過率や、反射率(概略)がわかる。2枚以上のフィルターを重ねた場合の分光透過率は、2枚のフィルターの分光透過率を400から700ナノメートルまで、10nmおきにカケ算をすればよい。反射色の場合は、種々問題のあるところであるが、光はフィルターを2回透り、白地で反射するわけだから、分光透過率を自乗して白地の反射率(V9.5の白地は約90%)0.9をかければよいというのが基本になる。

図4ー13はEK社CCフィルターの組み合わせによりできる分光グラフの一例であり、組み合わせによりどのようなカーブになり、そしてなぜY+Mの組み合わせがR(赤)になるかといった理由をグラフから理解することができる。

このような分光的な取り扱い方では多数の掛算が必要で面倒だが、これを簡略化した計算法も考えてみた。それは各フィルターの分光透過率を400〜490、500〜590、600〜690nmの範囲で平均値を計算しておきその三つの平均透過率で計算してみる方法である。

表4ー6はそのEK社CCフィルターの平均透過率表であるが、68ページにある図3ー6は実はこれをグラフ化したもので、この表やグラフを使えば、たとえば30Y+30Mを組み合わせた場合のB光(400〜490nm)の平均透過率は50×80=40%、G光(500〜590nm)の平均透過率は88×53=47%、R光(600〜690nm)は91×87=79%といったBGR光の透過率が見出せるなどBGR三原色の取り扱いが可能になる。

また表4ー7は表4ー6の平均透過率を濃度に換算したものであり、これによりBGR光に対する分色濃度が計算できる。濃度はタシ算でよいので計算が楽であるがこれにより概略的な色濃度を見出すことができることになる。

たとえば、さきにあげた20Y+20M+20Cの各フィルターのBGR平均濃度全体を加算してみると、
B濃度=0・354   G濃度=0・339   R濃度=0・305
となって、R濃度が不足する。つまり、赤色光吸収が不足し、そのため若干赤っぽく見えることになる。次に、20Y+20M+30Cの組み合わせを計算してみると、
B濃度=0・357   G濃度=0・356   R濃度=0・381
となり、R濃度が増加して、赤みは抑えられ、どちらかというと若干シアンがかかった中性グレーになるという裏づけができよう。

さらに、色の分光分布がわかれば、先のCIE表色法の三刺戟値計算表にあてはめて計算すれば、フィルター色のX、Y、Z、x、y、Yが見いだせ、色度や主波長、刺戟純度、視感明度などが概略的に見いだせる。また、反射色は、換算表を使えばx、y、Yから HV/C値も見いだせることになるわけだが、反射色の場合は測定色とは必ずしも一致しないので、反射色についての以上の計算データは”色の遊び”と考えていただきたい。また、種々未知数があることをお断わりしておくが、以上のようにCIE法、HV/C法ではできない色の取り扱いが可能な部分も多く、色を理解しやすく、また、カラー写真の色の取り扱いには参考になる部分が多いと思うので、提案として紹介させていただいたしだいである。なお、詳しくは写真工業1975年7月号および”色のつくり方はかり方”(脇色彩写真研究所刊)を参照していただきたい。
次の項目

RW institute of color and photography

Top Page   色再現関連製品   吸着システム   色のものさし