実際的な色の取り扱いとCCフィルター
色をはかりあらわす方法には、以上あげたCIE表色法、HV/C法、言葉による方法の三つ以外に、オストワルトシステムなど種々のものがある。また特定の分野、たとえば、印刷業界ではインキ会社から発行されているインキの色見本刷り、あるいは印刷会社から発行されているカラーチャートなどがある。印刷のカラーチャートはYMC3版とBL(スミ版)の網版をかけ合わせたチャートで、YMCとBLの4版のかなり広い範囲のかけ合わせがわかり、ある色を網版のかけ合わせでつくるとき、何色を何%と何色を何%かけ合わせればよいかが見いだせるようになっている。

網版のパーセントというのは、インキの付いている点の面積をいうから、Y100%、M70%というのは、Yはベタ版(網なし)で100%の面積にインキが刷られていて、M版はMインキのついた部分の点の面積が70%、つかない部分が30%ということである。

印刷されたカラー写真は版式によっても違うが、原色版やオフセットではこのような網点のかけ合わせですべての色をだしているから、背景の色とか広い面積の部分の色はこのようなチャートと参照すれば、どのような3色あるいは4色のかけ合わせになっているかが見いだせる。また、ある特定の色を望むときはチャートから希望の色を捜し、各色のパーセントを読みとりY50%、M70%、C30%といったようにして色を指定することもできる。

また、印刷されたカラー写真は全体の色調を判定したり、検討するのにCCやCPフィルターを使うことができる。適当なフィルターを、観察フィルターとして眼にあてがってみる方法だが、全体のカラーバランスや色調を判定する一つの方法になろう。

カラースライドやカラープリントの色の良否を検討するには、CCまたはCPフィルターを使うのが常識である。つまり、眼にあてがってカラー写真が適当な色に見えるところのフィルターを見いだせば、そのフィルターの色がカラー写真に不足している色であるから、それが再撮影したり、あるいは再プリントする場合の色補正の基準になるといったように、強く発色している色の種類と度合いや、補正すべき色の種類と度合いなどを示すのにも、CCフィルターの数値が実際に使われることが多い。たとえば、カラープリントの色を補正する場合に、単に黄色みをより強くしてほしいというあいまいな表現に代えて、10Yほど強くといえば、色の指示が具体的にできるので、より確実度が高い。カラー写真はYMC三つの色画像からできており、CCフィルターもYMC三原色を主体としたフィルターであるから、カラー写真の色を補正したり調整したりするにも適しているわけだが、このように、色を視覚的にはかったり、あらわしたりするにも適しているわけである。CCフィルターは別項で説明したように濃度で示されており、濃度はタシ算とヒキ算ができるので、これを使えば他の方法ではできない色のタシ算やヒキ算もでき、加えるべき色、減じるべき色も具体的にわかり、色を実際的、具体的に取り扱える可能性がある。ということで、筆者はこのCCフィルターのY系列、M系列、C系列をもとにしたカラーシステムを考えるとともに、実際に色のものさしをつくった。この方法は、CCフィルターさえあれば誰にでもできるので、次にその原理と方法を簡単に説明しておくことにする。
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