感覚的な表色法 色の三属性(HV/C)による方法
従来からよく知られている方法であるが、これは感覚的な尺度であり、色の三属性をもとにした表色法である。

色の三つの属性とは、色相(Hue)明度(Value、Lightness、Luminocity)彩度(飽和度、純度、Chroma、Saturation)の三つであり、無彩色は明度の性質しかないが、他の有彩色はすべてこの三つの性質をもっている。この三属性をもとに色を表示する方法は、マンセル表色方法、とくにHV/Cを使用する修正マンセル、システムが著名であり、JISにもその規定がある。JISの色の三属性による表示方法は、図4-8のように、基本色相は赤(R)、黄赤(YR)、黄(Y)、黄緑(GY)、緑(G、)青緑(BG)、青(B)、青紫(PB)、紫(P)、赤紫(RP)の10色相とし、各色相をさらに2.5、5、7.5、10のように分割している。そして、代表的な赤は5R、緑は2.5G、紫は5Pといったように記号であらわされる。なお、この色環においては、互いに向かい合っている色が補色関係にある。

明度Vは色の明るさをいい、明るい色を明度、暗い色を暗色と呼ぶ。無彩色の基本明度は白、明るい灰色、灰色、暗い灰色、黒の5段階に分類されて呼ばれる。この明度段階は理想的な黒0、理想的な白さ10として、この間を感覚的に等歩度になるよう11段階に分割されており、明るい灰色はV7、灰色はV5、暗い灰色はV3といったようにあらわされる。図4-9の左側が、その無彩色軸である。

彩度は、色の鮮やかさをいうことはいうまでもない。彩度の高い色を清色、低い色を濁色といい、同一の色相のなかでもっとも彩度の高い色がその色の純色と呼ばれる。彩度は各色相ごとに、図4-9の右側のように無彩色軸を0として横方向に彩度の低い色から、さえかたの度合いに準じてやはり感覚的に等歩度に配列して番号を与える。したがって、彩度番号の大きい色ほど、鮮やかな色であることを示す。

ただ、彩度は言葉では鮮やかさ、色のさえかたといったあいまいな表現しかできないが、これを分光分布で図解すると、図4-10のようになる。つまり色相、明度が等しく、彩度だけが異なる色は、図のように全体の総合のされた光の強さはあまり変わらず、鮮やかな色ほどカーブがきわだって特定波長光の含み方が多くなる。したがって、色の彩度はグラフの方があきらかで、わかりやすい。

さて、このように、色相H、明度V、彩度Cごとに色を分類し、これを立体的に配列すると次ページのような色立体ができ、あらゆる色がこの色立体のどこかに位置することになる。マンセル会社からでているマンセルブック、オブ、カラーや日本規格協会発売のJIS標準色票などは、このようにHV/Cで色を分類して眼でみることのできる、いわば色の視覚標準であり、ある任意の色と同じ色票を見いだせばその色を色票のHV/C値により、たとえばさえた緑を2.5G、5/12のように色をあらわしまた伝達することができる。
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