黒さ、色の濃さをあらわす(濃度)
濃度は、主として写真の世界でいわゆる”濃さ”をあらわすのに用いられる尺度で、ネガやプリントのある部分の濃さを、たとえば0.3、0.4といったようにあらわす。写真に写し込んでネガやポジの調子を検討するのに用いられるグレースケール(写真=コダック製)には各段階に数値がついているが、これも濃度の値(この場合は反射濃度)である。

この濃度(D=Density)は簡単にいえば、透過率または反射率の逆数の常用対数値である。参考として、表4-1にその換算表をあげておく。濃度は、表を見ればわかるように、透過(反射)率10%が濃度では1、1%が濃度2、0.1%が濃度3となり、そして0.3で約50%、0.6で約25%、0.9で約12.5%といったように、0.3ごとに透過率(または反射率)が半減する関係にある。

濃度を測定するには、写真のような濃度計が用いられる。濃度計には透過原稿(モノクロフィルム)専用のほか、プリントの反射濃度もはかれる兼用のもの、さらに色濃度がはかれる色濃度計がある。色濃度の測定には、狭い範囲の単色光を透過させる3枚のBGRフィルターを使用して、入射する各BGR光に対する三色色濃度が測定できるものが多く使用され、カラーフィルムの発色特性を見いだしたり、フィルムの現象の管理などににも用いられる。

しかし、ひと口に濃度といっても、測定方法によってかなり異なる。たとえば、さきのグレースケールの場合のように、一番明るい部分の白(フィルムならベース)の濃度を0として表示される場合もある。また、色濃度はカラーフィルムやカラーぺーパーの三色材(YMC)の濃さをあらわすわけだが、この場合、使用フィルターと受光器の分光感度を眼にあわせれば、”側色的濃度”となり、またカラーペーパーなどのプリント用感材にあわせれば、”焼き付け濃度”が得られるといったように、測定方法によって種々の濃度に分類される。また測定器の種類によっても測定値が違ってくるので、使用した測定機の製品の種類も表示される。また、分光濃度は、分光光度計により各波長光に対する濃度が測定されるわけだが、カラー写真では発色色素の性質やフィルターの性質も分光濃度でグラフとして表示されるなど、濃度は写真全般にわたって使われるので、だいたいのところは頭にいれておく必要があろう。
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