YMCフィルターの性質
カラー写真の撮影やカラープリントでは、色画像のバランスを調整するためにCCフィルター(色補正フィルター)というのが使われる。このフィルターの種類はBGRとYMCがあるが、すでにわかったようにBGRはYMCフィルターを組み合わせてつくれることから、基本的にはYMC3種だけあればよいことになる。種類はYMC各色について、もっとも淡い色の025から05、10、20、30、40、50までがあるが、これは三原色に直接関係があり、フィルターで説明した方がより実際的に理解が容易なので、ここでYMCフィルターの性質をある程度くわしく説明しておこう。

CCフィルターの分光透過率曲線は別項(112~113ページ)にあるが、この透過率を400~500、500~600、600~700nmの各BGR光の平均透過率を計算して、これをグラフにしてみたのが、図3-6である。この図から、各フィルターがBGR光をどのように吸収し、どのように透過させるのかがよくわかるはずである。斜線部分は吸収する部分をあらわす。

この図をみればわかるように、たとえばYフィルターの場合は05、10、20、30となるほどB光吸収が大きくなる。Mフィルターの場合はG光吸収が、またCフィルターの場合ではR光吸収が大きくなってくる。

なお、このCC数値は、もっとも吸収の大きい波長における透過率の逆数の常用対数値、つまり濃度であり、その小数点以下をもってあらわされた値であり、濃度であるから、タシ算とヒキ算ができる。05と10足せば(2枚重ねると)15となり10と20の中間がつくれ、10と20を足すと30と同様になる。だから、たとえばCC50は10+40の組み合わせ、あるいは20+30の組み合わせもできることになる。そして、これらYMCを等しい濃度で組み合わせると、10Y+10M=10R、20Y+20C=20G、30M+30C=30Bといったように、YMCとは別に発売されているCCフィルターのBGRとほとんど同じ色をつくることができる。

つまり、同じCC数値の組み合わせによりBGRがつくれるわけだが、たとえば同じY+Cの組み合わせでもYとCの比率をかえて、40Y+20Cの組み合わせにすると黄緑色になり、40Y+20Mではオレンジ色といったように、YMCBGRの各中間色ができる。 したがって、YMC三原色はその組み合わせしだいで、BGRの加色法の場合ほどではないが、同様に無数の色をつくることができるというわけである。
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