色の三原色(YMC色材による減法混色)
加色法はスライド映写の場合と同様に、光のないところにBGR光を与えて色光を混合するのに対して、減色法は明るい照明光下で、その照明光に含まれるBGR光を減じることによって色をつくる方法である。加色法がBGR光のタン算なら、減色法はBGR光のヒキ算というわけである。

したがって、減色法による色のまぜ合わせは、ヒキ算のもとになる光、それもできるかぎりBGR光を均等に含む白色光が必要になる。白色光という言葉は、人間の眼で白く見えるという程度のあいまいな表現でしかないが、ここではその白色光は400~500、500~600、600~700の各BGR光が均等に含まれる光を想定する必要がある。つまり400から700nmまでのスペクトル構成が等しい”等エネルギー光源”ということである。なぜそのような設定が必要かというと、もうすでに説明したように物体色は照明光源によって変化し、混色の場合もその例外でない。というよりも、混色や測定の場合は、とりわけ照明条件が重要になってくるからである。

次にこの減法三原色YMCであるが、概念としては、各色材は各BGR光の吸収体として、色刷りページの図3-4(8ページ)の上方に示すように、Y(イエロー)の色材は光の三原色光BGR光のうちB光のみを吸収し、残りのG光とR光を完全に反射(または透過)させる。またM(マゼンタ)の色材はG光のみを吸収し、残りのB光とR光を完全に反射(または透過)させC(シアン)はR光のみを吸収し他を完全に反射(または透過)させるという性質のものである。

これをフィルターにおきかえて説明すると、図3-5のAのように、YフィルターはB光だけを、MフィルターはG光だけを、またCフィルターはR光だけを吸収し、他の二つの色光を完全に近く透過させる性質をもっている。というより、YフィルターはB光を吸収しG+R光を透す結果黄色に、MフィルターはG光を吸収しB光を透す結果マゼンタ(赤紫色)に、またCフィルターはR光を吸収しB光とG光を透す結果シアンにみえるといったほうが正しいが、それはともかく、Yはマイナスブルー、Mはマイナスグリーン、Cはマイナスレッドであることを念頭におく。

以上のYMC三原色を組み合わせることによって得られる色は、光源からくるBGR光から組み合わせる原色のマイナス部分を差し引いていけばよいわけであるから、各フィルターの2枚ずつの組み合わせでは図3-5のBのように、Y+M=R、Y+C=G、M+C=Bとなることは明白であり、Y+M+Cの組み合わせでは3枚のフィルターの吸収が大であればBGR光は完全にカットされて黒くなり、各YMCフィルターの吸収が中程度であれば、中性グレーになるというわけである。

したがって、YMC3種のフィルターを交互に重なるようにライトボックス上にのせると、図3-4の下のような減法混色が得られることになる。
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