色をまぜ合わせる二つの方法(光の混合と着色物(色材)の混合)
クレヨン、パステル、水彩、油絵の具いずれをとっても、現在では非常に豊富な色がそろっている。しかし、それでも希望する色がないときはチューブの色を適当にまぜ合わせることになる。また、壁の色を塗りかえるときも、希望する色のペンキがなければ、やはり適当なペンキとまぜ合わせて希望の色をつくる。

われわれが一般的に色をまぜ合わせるというときは、このように色のついた物質(色材=色素、顔料、染料等の総称)のまぜ合わせを指することが多い。またカラー写真では、フィルターを2枚重ねて使用することがある。組み合わせによって色は変わるが、これも色のまぜ合わせであり、このような色(着色物自体)のまぜ合わせは減色法(減法混色)と呼ばれている。

一方、光そのものをまぜ合わせるという方法がある。たとえば、劇場では、青、緑、赤、黄といったスポットライトが照明に使われるが、舞台ではその組み合わせ方しだいで多様な色彩効果が演出される。このような色混合の方法は、加色法(加色混合)と呼ばれている。加色法で色をつくりだしているもっとも身近な例は、カラーテレビである。カラーテレビのブラウン管をルーペで拡大してみるとわかるように、その表面には青紫と緑と赤3種の微細な色の粒があり、その三つの色の発行の組み合わせと強弱によって、あらゆる色がつくられる。距離をおいて見ることによって、その併置された色は加法で混色(併置加法混色)されて種々の色に見える(図3-1)。

カラー写真はカラープリントにしろカラースライドにしろ、1枚のベース上に黄、マゼンタ、シアン、の単色の画像が3枚重ね合わせられていて、フィルターの重ね合わせと同じ原理で色をつくっているので、その色のつくり方は減色法である。(図3-2) また、色印刷物における透明インキの、2色のかけ合わせ効果も減法混色である。しかし、まえに述べたように網点を使った原色版などのカラー写真印刷は、網点同士が重なり合う部分では減法混色であるが、点と点が離れていて色がまざり合うという効果はカラーテレビと同様な加法混色なのである。したがって、網点印刷では加法と減法が、複雑にいりまじっているというわけである。

従来、絵の具の混合はフィルターの重ね合わせと同様な減法混色とされているが、必ずしもフィルターの場合と同じではない。フィルターの重ね合わせは、たとえば透過率50%のフィルターを二つに切って2枚重ね合わせると、透過率は0.5×0.5の透過率のかけ合わせで25%となる。しかし、絵の具の場合は同じ絵の具を二つに分けて再び混合しても、色も明るさも変わらないからである。したがって、絵の具やインキの重ね塗りや重ね刷りでは、その色材が透明な色である場合にのみ、フィルターの場合と同様な減法混色がなりたつ。

いま述べた加法混色と減法混色の違いは、光エネルギーを加えるか、または減じるかという相違である。色材の組合わせがなぜ減法混色になるかは、もうすでに述べたように、着色物自体が光の吸収体であり、光エネルギーを減じることによって色をつくるからである。
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