偏光と偏光フィルター
光は波の形をとって伝達されるが、通常のいわゆる自然光はその振動の方向がまちまちで、あらゆる方向に振動する光を含んでいる。それに対して偏光というのは一定方向にのみ振動する光をいい、偏光フィルターはその偏光をつくり、そして偏光をカットする性質をもっている。

偏光フィルターは結晶を一定方向にそろえて並べたもので、一種のスダレと考えればよい。自然光に対して縦にスダレをおくと、自然光のうち縦方向に振動する光だけが透り、他はカットされる。次にスダレが横になるように位置させると、(1)を透ってきた縦方向にのみ振動している偏光はカットされ、光は透過しなくなる。

図下の写真は、実際に大型の偏光板の上に小型の偏光フィルターをおき、これを徐々に回転させるとどのように光がカットされるかを示したものである。Aは、偏光軸がそろっている状態なので光をよく透すが、B、C、D、E、といったようにフィルターを回転させるとこのように徐々に偏光がカットされて暗くなり、偏光軸が直交するEのように光はほぼ完全にカットされ透過しなくなる。

したかって、偏光フィルターは偏光をつくると同時に、偏光をカットするわけだが、写真の場合に偏光フィルターが有効なのは、自然界に生じる偏光を除去し写真効果をよくできるからである。あとでも述べるように、物体からくる表面反射光は大なり小なり偏光しており、一般には有害とされるその表面反射光が偏光フィルターでカットでき、また、晴れた日の青空も偏光を多く含んでいるので、カラーでは被写体の色を変えないで、青空の色を暗くすることができる効果があるからである。

最近では、偏光材料を使ったサングラスがかなり普及しているが、これらは水平な偏光をカットするために、偏光軸が縦になるように挿入されている。水面や道路などの表面反射が除かれるので、眼にもよいし、水中の魚がみえるので釣りにも重宝する。
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