標準の光とは
照明光の分光分布が変わると当然、物体の色も違って見える。そこで正確に色を判断したり、あるいは測定したりするときには、何らかの基準になる光源が必要になってくる。そのため、国際照明委員会(略称CIE)では次のようなA、B、C、D各種の標準の光を規定している。

A光源は色温度2854度Kのガス入りタングステン電球の光で、これは普通の家庭用の電球とだいたい等しい光である。
B光源はこのA光源にB種のデービス・ギブソン(DG)ファルター(マンニット、ピリジン、硫酸胴、硫酸コバルトアンモニウム、硫酸などを規定量だけ溶解した液体フィルター)を透過させた光で、色温度は4870度Kで、太陽直射光に近似した光である。
C光源は、また別種のDGフィルターを用いた光で6740度Kの色温度をもつ光で、昼光に近いとされるが、写真の”昼光”(約5500度K)よりもかなり青っぽい光である。従来は、このC光源がもっとも多く使用されてきたが、最近ではC光源よりもさらに自然光に近い合成昼光D(5500度K、6500度K、7500度K)、とくに6500度Kの光(D65)が多用されることになるようである。

この標準の光は、カラー写真の撮影では直接の関係はない。カラー撮影では、使用するフィルムの指定色温度を基準にして取り扱えばよいわけであるが、表色や測定においてはこのような標準の光が規定されているということだけは知っておきたい。

また、カラー写真の色(カラースライドやカラープリントの色)も、それを観賞するときの光源の色によって変わって見えるのは一般の物体色と同じであり、とくに印刷原稿となるトランスパレンシー(カラースライド)のカラーバランスの判定などは、やはりそれなりの基準となる光源が必要になってくる。そのためにカラーラボや印刷所では、専用のイルミネーター(ライトボックス)が用意されている。現在では、そのイルミネーターは必ずしも厳密に規格統一されているとはいえないが、一般にはボックス内部にデラックスタイプの蛍光灯を用いた色温度約5000度Kから6000度Kのものが多用されている。
次の項目

RW institute of color and photography

Top Page   色再現関連製品   吸着システム   色のものさし