青空と夕焼け 光の散乱
光は散乱するが、その散乱の仕方は、短波長光ほど散乱しやすい。波長の長い赤色光と比べると、青紫系の短波長光はその7-10倍も散乱度が大きいとされる。

自然現象では、青空と夕日のその典型的な例を見ることができる。晴れた日の青空は、厚い大気中の微粒子によって短波長光が強く散乱された結果青空になる。もし、大気がなければ月世界のように昼間でも空は真っ暗く、星が輝いて見えることになる。そして大気に誇りや水滴、スモッグなど散乱させる粒子が大きくなりかつ多くなると、短波長光だけでなく長波長光をも散乱させることになるので、空気が汚れた都会では澄んだ空気の高原などで見られるようなすばらしい青空はめったに見られないということになる。

朝夕の太陽光が黄、橙、赤といったように赤っぽくなるのは、昼間の何十倍といった厚い大気の層を通過するため、短波長光はより多くの散乱を受け、散乱しにくい長波長光だけがより多く到達するからであるが、そのときどきの条件によって、各波長光が多様な形で散乱される結果、ある時は黄赤っぽく、そしてあるときは燃えるような真っ赤な太陽に見えるというわけである。

こうような光の散乱の現象は、写真には直接的な影響をおよぼす。特に、風景では遠景が克明に写るかどうかは散乱の状態によると同時に、写し方によって効果は著しく変わってくる。通常、UVフィルターを常用フィルターとして使うのは、紫外線は光よりも波長が短いため、さらに散乱しやすく、かつどのフィルムも紫外線に感じるから、その有害紫外線をカットするために用いる。

したがって、遠景をより克明に描写しようとするなら、モノクロの場合は散乱しやすい短波長光側をなるべく多くカットし、なるべく長波長光側で写すようにすればよいわけで、シャープカットフィルターを使えばY、O、Rの順に遠景描写が良くなる。また赤外線フィルムによる風景写真では、眼には見えない遠方が克明に写し出されるのも、赤外線は赤色光よりもさらに波長が長く散乱しにくく、透過力のある不可視光線だからである。
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