光の色
光がなければわれわれの視覚生活はまったく成り立たない。同様に写真はphotography(光画)という言葉が示すように光をもって描く術であるが、写真の場合は光だけではない。人間の眼には見えない不可視光線で写される写真や映像も、大変多いからである。

例えばX線写真である。これにはわれわれの眼には感じないX線(レントゲン線)が利用される、このX線写真は、X線による像を直接写す方法や、いったんこれをX線蛍光板にあてて、X線のエネルギーを紫外線や短波長の光に置き換えて写される場合があるが、いづれにせよ、このX線写真も写真の一種であることに変わりはない。

一般の写真撮影では、紫外線はあまり関係がないように思われるが、実は、写真感光材料のすべてが紫外線にもかなりつよく感光する。紫外線は散乱しやすいため、シャープな写真を作るには有害であり、その為一般撮影でもこの紫外線を遮断するために、レンズの前に無色のUVフィルターを使用するというわけである。そして、カラーフィルムは紫外線を青い光として記録するので、一般に青空はわれわれの眼でみるよりもより青く写るものなのである。

また、写真は光のない暗闇でも写せる。その最たるものは赤外線写真である。眼には見えない赤外線だけを出す赤外ストロボやフラッシュを暗闇で発光させ、赤外フィルムを使って写せば、暗闇でも写真は写せる。材料検査や鑑識といった科学写真の分野では赤外写真は付き物である。

写真や映像にとって単に眼にみえる光の世界にとどまらず、X線や紫外線、赤外線、そして電波といった眼には見えない不可視のエネルギーと深い関係がある。これらすべては電磁波と呼ばれる一連のつながった放射エネルギーなのである。
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