デジタルカメラのダイナミックレンジ
デジタルカメラで撮影した画像はどうしても白が飛んでいたり、黒がつぶれていたりすることが多いです。これは光量に対するCCDの入出力特性の幅があまり広くないことが原因です。今回はこのあたりのお話です。
まず私たち人間の視覚特性を考えてみます。私たちは眼に入ってくる光量に比例してその明るさを感じているかというとそんなことはありません。たとえばコダックが発売しているようなグレースケールは視覚的に濃度が等間隔で並んでいるように思えますが、濃度というのは実は-Log(反射率%/100)、つまり反射率が1桁下がると濃度は1増えるのです。濃度2.0の反射率は1/100、濃度1.0の反射率は1/10というわけです。どうも人間の視覚というのは光量の桁数に対応して明るさを感じているようです。
ところで人間の視覚可能な範囲はどのくらいあるのでしょうか。星空と太陽の直射日光下の光量では実に8桁の差があります。(星空の光量は真昼の1/100000000ということです。)だいたいこの範囲(ダイナミックレンジ)で人間は物をみることができるわけです。
さて、デジタルカメラで用いられているCCDのダイナミックレンジはどのくらいあるのでしょうか。入射光量(入射時間と光量の積、カメラの場合は絞りとシャッタースピードに対応してますね)の最小値はそのCCDが持つノイズで決まります。ノイズより大きくないと信号値が意味がありません。そして最大値はCCDが蓄積できる電荷の飽和量で決まります。
例えばソニーのICX084AKというCCDの特性を見ると飽和レベルは500mVで低照度限界が2mVとありますので、ダイナミックレンジは約2.4桁となります。ネガフィルムが少なくとも4桁はありますので、やはりデジカメのダイナミックレンジは少々物足りないと言えますね。
カメラには絞りとシャッタースピードという光量を補正する機能があります。例えば1絞り絞ると光量は半分になります。カメラに入射する光量は均等に半分になりますから対数(Log)スケールに対してはその光量は0.5だけ平行移動することになります。つまりカメラによる光量補正は被写体の光量分布をダイナミックレンジの中にちょうど良く平行移動させることはできても、ダイナミックレンジより広い光量分布に対してはどうしようもありません。(シャッタースピードを変えて、多重に記録して合成してダイナミックレンジを大きくする方法はあります。)
現在のデジカメは画素数を競っていますが、多画素化はダイナミックレンジを減少させる傾向にあります。写真画質にとって階調は命でもありますので、いずれダイナミックレンジを拡大する方向にも開発が進むことは間違いないでしょう。
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