ロンバケ・ポスター紹介
2021年12月19日更新
 
現在はダイソーで買った額に入れて部屋に飾っています
 大瀧詠一さんのロングバケーションというアルバムを知っていますか。1981年春に発売されました。もう40年前の作品ですが、収録楽曲は当時としては非常に斬新でした。事情を知らない今の若い世代にはどう聞こえるか分かりませんが、個人的にはこのアルバムが現代の音楽シーンを作ったのではないかと思っています。
 とは言うものの、発売直後は反応が薄かったようです。半年ほどキャンペーンをしてようやく目標の10万枚をクリアしたようです。しかし、このアルバムの特殊なところはここからでした。その後も売れ続け83週チャートインし、この間に61万枚売れました(付属CDに収録の本人談)。その後もあちこちで耳にすることが多く、特に「君は天然色」に至ってはCMソングやドラマ・アニメに何度も使われました。時期をずらしながらキリン、サントリー、アサヒの飲料品CMに使われたのは大きな快挙でしょうね。そして2020にはオレの大好きな久米田浩二さん原作の「かくしごと」のEDソングとして採用されました。今でも現役の楽曲なんです。

 
40年目のキャンペーン
 
発売40年目の今年3月21日、1面ぶち抜きの広告が掲載されました(左)。左は今回のキャンペーンポスターです。
 それだけに40年目となる今年何か仕掛けてくるとは思っていましたが、それにしても3月21日の新聞広告いは驚きました。有名イラストレータによる4枚のイラストを抽選でプレゼントとのこと。おお、そういう仕掛けか・・・。ずっと様子見をしていたのですが、急に気持ちが変わりました。ネット検索をすると6,000円です。若干迷いましたが、アマゾンでポチりました。後で調べたところ、オレの買ったセットは3,000~4,000円が相場だったようです。アマゾンは高かったんです・・・。ただ、結果的には当選したのだから良しとしましょうか・・・。プライムビデオ契約もしているし、オレは完全にアマゾンの優良顧客ですw。

 

永井博氏のイラスト

CDに入っていたライナーノーツにはこれまでの企画ジャケットが紹介されていました。恐らく全部永井博氏のイラストと思われます。
 誰もいない海辺のプール、このアルバムを象徴するジャケットですが、実はこのイラストはこのアルバムのために書き下ろしたものではないようです。永井博氏が1979年に出版したイラスト集、その名も「A LONG VACATION」の中の一枚だったようです。このイラスト集はソニー出版から販売されたのですが、多忙な永井氏は説明文を準備出来ず、ちょうどソニーに移籍した大瀧さんが担当するという巡り合わせになりました。今、振り返ると奇蹟としか言いようがないのですが、永井氏のイラストに合わせた楽曲を制作するという流れとなったようです。絵に音が付けたというわけですが、結果として見事にマッチしました。これがきっかけとなり鈴木英人、わたせせいぞう等と共にそのまま80年代を象徴するイメージへと進化したと思っています。画像は今回のCDのライナーノーツをスキャンしたものですが、このイメージが80年代なんですよねぇ。

 
ポスター紹介
わたせせいぞう氏
  江口寿史氏 
 新聞広告を最初に発見したきっかけは、1ページまるまる使ったわたせせいぞう氏のイラストが目に入ったからです。オレはこの80年代後半の象徴のような画像に釘付けになってしまいました。広告のイラストとして選んだ方のセンスに感服です。わたせ氏の代表作と言えば「ハートカクテル」ですが、現在の50代女性に「ハートカクテル」なんて言うものなら、乙女の瞳に戻る人続出だと思います。今回のイラストもそのイメージのままです。静かな海辺のホテルのプールでバケーションを満喫しています。わたせ氏のイラストは松岡直也氏のアルバムジャケットのイメージが強いのですが、ロングバケーションにも合いますね。
   イラストを担当した江口氏は魅力的な女性を描く80年代を代表する漫画家で、代表作は「ストップひばり君」です。オレはほとんど読みませんでしたが、高校の先輩に熱烈なファンがいました。LPジャケットを後ろ手に持って浜辺に歩いていく女性の不自然さも含め80年代の雰囲気だと思います。江口ワールド全開と言っていいかもしれません。一方で江口氏は遅筆でも有名で、未完の作品も多数あります。このような作家さんは現代では通用しないかもしれませんが、おおらかな80年代を象徴する作家さんでもあります。
本秀康氏
   久米田康治氏
 他のイラストがさりげなくLPジャケットを組み込んでいるのに対し、このイラストはど真ん中に持ってきました。正直言いますと、オレ、この方は知りませんでした。それでネットで調べてみると、このキャラは本氏の代表キャラのレコスケ君です。音楽関係の雑誌やポスターなどで見かけたことがありましたが、キャラ名を含めて今回知りました。チップショップというユニットが大瀧さんの楽曲カバーをしたとき、ジャケットのイラストを担当したことが縁となり、今回のイラストのオファーにつながったようです。ところで、今回のイラストは大瀧さんと何らかの接点がある方から選ばれたということです。わたせ氏の場合は過去に大瀧さんと対談をしたことがある、江口氏は大瀧さんも認めていた熱烈フアンという接点があるそうです。
   もしかするとオレが一番驚いたのは久米田氏のイラストかもしれません。絶望先生ですっかり久米田フアンとなったオレですが、「かくしごと」も好きで見ていました。アニメのエンディングで件の「君は天然色」が使われたことも知っていましたが、まさかそのまま40周年記念に参加するとは予想外でした。とは言いうつ、あのアニメは「思い出はモノクローム、色を点けてくれ」の一つの解釈をする内容にもなっていましたので、むしろ正しい人選だと思います。加えて、あのエンディングの映像は80年代を意識していましたがもしかすると最初から記念アルバムにつなげようとしていたのかもしれません。
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