中国の少数民族・トン族の鼓楼と風雨橋(2)  中国広西壮族自治区三江トン族自治県

      三江の町から林渓・馬胖の村まで

(写真をクリックすると、はっきりした画像が現れます)

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 安濟風雨橋


第4日目

今回は、支流の林渓川沿いに村々を結ぶバスで、終点の林渓まで行く。このルートは、公・私営両方のバスが走っていて、本数も多く乗っている時間も一時間ほどで気軽に行ける。川の東岸に沿って道路が作られているので、バスの左側の座席に座ると、風雨橋を見落とすことがない。

三江を離れてしばらくすると、有名な程陽風雨橋をはじめ、幾つかの風雨橋が目に入ってくるが、とりあえず終点の林渓を目指す。眼前に広がる風景は、独峝へ行ったときに見たものと同じく、日本の山村を思わせる景色が続く。この地域では、水田に水を引き込むための水車が、現役で活躍している。

林渓は、村というよりは小さな町といった感じだ。川沿いの道路に面したところには、商店が並び、その背後には民家が続いている。ざっと見ても百軒は下らない。道路の終点から先にも、川沿いに商店が店を連ねているのだ。面白いのは、川岸いっぱいまで店が立ち並び、その川の上に屋根付きの遊歩道がせり出している点だ。全て木造である。これなら雨の日も、濡れずに買い物ができる。なかなか趣のある場所だ。川には澄んだ水が流れているのだか、残念ながらゴミだらけだ。風雨橋にしても、橋を載せてそれなりの姿を保っているのは、町の入り口の風雨橋だけだ。しかもその橋脚には、大量のゴミが捨てられている。鼓楼も高定村のスラリとしたのに比べると、がっくりくるような代物で、全体の印象もズングリとしていてさえない。落書きも多く、保存状態が良いとは言い難い。とりあえず腹ごしらえをして、バスでたどってきた道を、三江方面に歩いて戻ることにする。

林渓ー三江ルートは、車が頻繁に走っていて、前回のようにバスに乗りそびれる心配もない。天気は今日も曇り空で、太陽も出ないかわり、雨も降りそうにない。歩くには丁度いい。しばらく行くと、割と形の整った風雨橋が見えてきた。安濟橋だ。ここは村というほどの集落ではないのだが、風雨橋は美しい。次に現れたのは華下橋で、この風雨橋には櫓がなく、屋根をふいただけの細長い橋だ。この周囲に集落はなく、川向こうの水田に農作業に行くためのものらしい。風雨橋の中央や入り口には、よく土着神が祭られているのだが、このシンプルな橋にも、神様は祭られていた。

さらに歩くと、かなり大きな村が見えてきた。木造の民家の密集した冠洞の集落だ。村の入り口には、新しい風雨橋が架けられているが、間延びしていて美しくない。このあたりは、川幅が広くその分、橋も長いのだが、櫓が3基載せられているだけで、バランスが悪い。写真を撮る気がしない。田植えの終わった今の時期、男衆は暇を持て余しているのか、老人も若者も橋の上で、昼寝をしたりトランプをしたりして時間をつぶしている。午後3時、小雨がパラついてきたので、一旦バスに乗って三江に戻る。

第5日目

翌日は、馬胖に行ってみた。こちらも林渓行きほどではないが、公・私営のバスが走っている。馬胖は県内最大20mの鼓楼で有名なのだが、やはりズングリとしていて、私はあまり魅力を感じない。高さにしても高定村で見た鼓楼の方が高いような気がする。形のせいだろうか?おまけに写真を撮っていると、見ていた年寄りの一人が、小金をせびりにきた。態度が横柄で感じが悪かったので無視した。村の小学校の前を歩いていると、授業が終わったのか、校舎から子供たちが次々と出てきた。よくもこれだけいると思えるほどの人数だ。ここでは一人っ子政策の実現など夢のまた夢だ。

バスで三江方面に少し戻り、八斗で降りる。ここにも風雨橋があるのだが、周囲の建物が邪魔して、写真が撮れない。集落の中には鼓楼も建てられているが、やはり幅広ずん胴のものだ。次の八江までは歩いて戻る。

八江風雨橋、この橋は新しいものだが、姿が美しい。すぐそばに学校があるためか、この風雨橋は子供たちの遊び場と化している。今、校舎を増築中だが、完成すると風雨橋の背景に入ってしまい、写真を撮る側としては好ましくない。しかし、風雨橋や鼓楼は、生活の場に密着してあるもので、遺跡の写真を撮るようにはいかない。曇り空で条件が悪いが、晴れれば絵になる風雨橋だ。

第6日目

程陽風雨橋に向かう。この橋は、唯一観光化された風雨橋だ。橋を渡る時には5元の渡橋(入場)料を徴収される。桂林などからも、ツアーが出ていて、中国人観光客が訪れている。程陽風雨橋は、三江方面から来ると、村の南の端に位置している。そして、そこから数百メートルにわたって、幾つかの集落が連なっている。風雨橋から一番離れた村のはずれでバスを降り、集落をぶらつきながら、程陽風雨橋に戻るコースをとった。

これらの集落の中には、普済橋合龍橋といった風雨橋が架かっているのだが、あまり手入れがされていない。鼓楼もいくつか見られるが、馬胖と同じくズングリしている。この地域では、伝統的にこのタイプの鼓楼を建てるようだ。

程陽風雨橋は、やはり人目を引く存在だ。今日も曇り空なので、できるだけ空を入れないよう、すぐそばの丘に登って、上からのアングルを探す。しかし、いい場所がない。カメラを持ってウロウロしていると、それを目ざとく見つけたチケット売りのオヤジが、5元払えと言って来た。いずれ橋を渡るとき、チケットを買うつもりだったが、未だ橋に近づいていないところで売りつけられるとは思ってもみなかった。なんとも世知辛いことだ。橋の入り口では、民族衣装を身に着けた娘さんやおばちゃん達が、みやげ物を売ったり、観光客と一緒に写真におさまったりして、商売に精を出している。確かに、橋の長さも長く、櫓を5基も載せて、バランスもいいのだが、ここまで観光化されお金お金といわれると、写真だけ撮って早々に帰りたくなる。この風雨橋での風潮が、他の風雨橋にまで及ばないことを祈るばかりだ。

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 華下風雨橋

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 馬胖鼓楼

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 馬胖鼓楼

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 八斗風雨橋

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 八江風雨橋

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 八斗鼓楼

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 普済風雨橋

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  合龍風雨橋

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  程陽風雨橋

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  程陽風雨橋

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  程陽風雨橋