2005.01.31

FRIFOT
『農夫と狐』という曲を私はよく演奏します。スゥエーデンとノルウエーの国境あたりのトラディショナルだということですが、そもそもは《フリーフォート》のCDを聴いて魅了されたのがはじまりです。
《フリーフォート》、北欧のトラッド・シーンではきわめて重要な位置を占めるグループです。不思議な成りゆきから、4月6日に品川のグローリア・チャペルでの共演が実現することになりました。以前《アラビンディア》の三人とSTOYを録音して私の音楽観に大きな変化が起きたように、今回の遭遇でも何かが起きるのは確実です。その現場に立ち会って、目撃証人になってみる、というのは面白いかも。

FRIFOT(オフィシャルサイト)
キリスト品川教会グローリア・チャペル(会場)
音楽を聴く仲間の会(主催)
Harmony Fields(共催)

2005.03.15
カタカナ市
ことによるとカタカナ市がまたふたつ出現してしまうところでした。
かたや【中央アルプス市】、こなた【南セントレア市】。
すでに【南アルプス市】が一昨年4月に発足しているので、本州の土手っ腹に不細工な市名が三つ。エイリアンが増殖するきざしにも似た不気味さです。
さいわい両方とも住民投票の結果、市名どころか合併自体がご破算になったということで、ほっと胸をなでおろしているのは私だけではないはずです。まずはその地域にお住まいになっている方々の語感と良識に感謝することといたします。
どちらも「法定合併評議会」が新市名を公募して候補を決めてから住民投票となったようなのですが、長野県駒ヶ根市+飯島町+中川村では“世界に通じる壮大な名称”という理由で【中央アルプス市】を、愛知県美浜町+南知多町では公募にないにもかかわらずS町長のこだわり発議で全会一致(!)【南セントレア市】が推されたそうです。
壮大な名前なら【東欧亜大陸市】とか【銀河市】のほうがデカいっすよ。
S町長さん、色紙にセントレ「ヤ」と書いてレポーターに笑われる程度のこだわりだったのですか。「それでも3位だった」と強がっていますが、1位【南知多市】10296票、2位【美浜市】2253票、で1988票ですからね。
ところで住民投票って有権者資格はどうなっているのでしょう。【南アルプス市】投票結果をみると、10才未満の票284とありますが???

2005.05.31
無事帰還
前回書いたCadenzaとEssayの日付を見て愕然としました。
3月15日!
これが雑誌のコラムだったら二ヶ月休載です。しかしこの間のスケジュールを見ると(むろんHPに載っていないのもあり)よくぞ乗り切ったなと思います。
まずは4月6日フリーフォートとの共演。たった一回のコンサートですが、リハーサルが当日3時間できるだけなので、彼等のCDを聴いて、リズム、メロディーのニュアンスなどいろいろなことを体に染み込ませることを前日までやろう、と思っていた数日間が、トリプルピアノ公演、上杉亜希子セカンドアルバムのトラックダウン作業、などで埋まってしまう。
4月8日『ダンスの国の朔太郎』という番組の公開録画のためにNHK前橋放送局へ。関越道。帰宅は零時を回る。4月10日トリプルピアノ、サントリーホール公演。ソロ・コーナーはこのところ恒例にしているニコライ・カプースチン。今年は『ジャズ風コンサートエチュード』三番。思うように練習ができていない。7日に多少まとめて弾けた位で暗譜不完全ゆえ楽譜を見て演ることにする。
11日ライブ、12日教室、13日朝8時成田集合スロヴェニアへ。18日帰国。19日教室、20日トラックダウンの残り……。
というような具合になっていて、5月4日──たった一回だけほぼ全員が揃ってメールス・ジャズフェスティバルのリハーサルができる日──までに10曲ばかりのアレンジを仕上げる時間があるのか。しかも、作業のための頼みの綱だったゴールデンウイークに『火曜サスペンス劇場』を一本書くことになってしまう。こんなときに限って音楽シーンがやたらと長い。7分超なんて、どうするんだ?!
果たしてメールス・ジャズフェスティバルまで身がもつか、と何度か心配になりました。無事帰還してやっと一息。皆さんに種々報告する気力が出てきたのは我ながらメデタイ。ここしばらくのEssayはスロヴェニアとドイツとオランダものでネタに不自由はなさそうです。

2005.06.27
SAIFA
7月27日〜29日はPIT INN 3Daysです。
三日とも皆さんに聴いていただく機会が少ない編成なのですが、特に28日のSAIFAは、5月に行ったメールス・ジャズフェスティバルでの“Tribute to Masahiko Togashi”の再演です。たぶん、この日一回きりしか演奏しないと思うので、富樫さんの音楽に興味をお持ちの方はお聴き逃しのないように!
SAIFAは私のいろいろなグループのなかで唯一レコーディングしなかったバンドです。
オリジナルメンバーは中川昌三(fl)、山口真文(ss)、土岐英史(as)、佐藤達哉(ts)、松本治(tb)、桜井郁雄(b)、日野元彦(dr)でした。
今回この名前を復活したのは、メールス側から「十人程度で」という要望があって、それならSAIFAが規模としてぴったりだと思ったからです。往年のSAIFAを御存知の方は「ずいぶんスタイルが違うな」とおっしゃるかも知れませんが、富樫さんの音楽を発信するということが目的なので、SAIFAの音楽は封印しました。
しかし、たくさんあるスコアを眠らしたままにしておくのは不本意なので、いずれ本来のSAIFAを復活する機会を作りたいとは思っていますが、なにしろリズムセクションの要だった日野元彦さんがえらく遠方へ旅立ってしまったので、あとを引き継ぐ若手の成長待ち、という所です。

2005.07.29

コワイデスネ〜
ジャジャジャジャッ ジャジャジャッ ジャジャ〜〜〜ン

サスペンスですね〜。恐いですね〜。

ついにこんなものまで出現しました。

誰が思いついたのでしょうね〜。

2005.08.31
ジャズ界の祈祷師
8月19日。香川県の水瓶、早明浦ダムの貯水率がついに0%になり、発電用水として確保している985万トンを放出することになりました。生活用水1ヶ月分なのだとか。つまりあと一月雨が降らないと香川県民はどうなる?
1994年以来の異常渇水だそうです。
しかし高松でのライブを翌日に控えても私はたいして心配しませんでした。
こういう時こその雨男。なにしろライブやコンサートの降水率4割、10年ほど前には金沢の野外ソロ・コンサートではるか彼方の黒雲を呼び寄せて豪雨を降らせた実績まであるのですから。
さて20日。終演から打ち上げ後も降雨なし。11年ぶりの日照りには勝てなかったかなと思いきや、翌朝は見事に雨! 早明浦ダム上流に107ミリ降り、22日には貯水率5.9%になったそうです。
ライブ冒頭に雨の曲を続けたのが効いたか。
ジャズ界の貴公子、じゃなかった祈祷師を名乗る資格ありかな?

2005.10.03

ジャズ界の祈祷師2
9月4日夜。横浜Dolphyのライブを終えて帰宅途中の第三京浜はたたきつけるような雨で完全な川でした。
ワイパーなどあってもなくても同じ。先行車のテールライト頼りに30km/hでのろのろ進む。稲光りはまるで方向性がなく、モワーっと周囲が明るくなるだけで、雷鳴がきこえるはずなのに雨音の凄まじさにかき消されてしまう。やっと帰りついてTVをつけたら、この時の雨が98mm/hでした。
そういえば先月高松に呼んだ竜神様に「ありがとうございました。どうぞお帰り下さい」と言ってなかったな。やはりこういうことはケジメつけなくてはダメなんでしょうね。

変節
9月11日。日本の地滑り。こうも簡単にムードに流される日本人ってどういう民族なのでしょう。
昭和のはじめから日本中が次第に一方向に傾斜して、8月15日まで行き着いてしまったことから何も学習していないように思えます。
情けないのは「民意が賛成だということだからそれに従うのは当然」と簡単に翻意する反対派の人たち。あんたら自分の信念は無いのか、と聞きたくなります。
議席ではなく、得票率が民意なのではないですか。
「流行ってるのが正しい音楽」「売れてるから買う」っていうのと同じ感覚で操られる国はアブナイですよ、皆さん。

2005.10.31
楽しみ多き月
11月は楽しみ多き月です。
novello、nouveau、新酒の季節。若い微発泡のワインでカルパッチョもよし、にごり酒で刺身もよし……脂の乗った青魚でDHA、EPAを補給して老化を防ぐことを大義名分として大いに飲むべし、食うべし、なんてね。
鰯、秋刀魚、鯖、鰤、そして牡蠣。海ばかりではありませんよ、山には鹿、猪、熊、鴨、それに茸のたぐい。あー忙しい。仕事をする暇がない。
しかし懐中が軽くなるにつれて我が身に脂が乗ってしまい、ちったぁセーブしろよ、という羽目になるのはわかり切っているけれど、食い気には勝てません。
それにしても脂ってものはなぜ腹のまわりだけに「乗る」のでしょうか。たまに道場へ行く位では焼け石に水。しかも演奏のほうにはさっぱり乗ってくれない。
年齢は秋季〈脂〉時代を終わり、そろそろ冬〈枯れ〉時にさしかかっているというのに。

2005.12.01

枚方宿ジャズストリート
枚方は東海道の五十六番目の宿です。と云われると関東ものは「東海道って五十三次じゃなかったっけ」と意外に思います。実は徳川家康が京都から大阪まで東海道を延長し、伏見、淀、枚方、守口の四宿を加えて五十七次にしたのでした。

   

枚方市内には旧東海道が保存されていて、両側には古い家並や寺が残っています。


あちこちで同時進行しているジャズの演奏を聴きまわりつつ、旧街道の雰囲気を楽しむ晩秋の一日なんて、なかなか粋なイベントではありませんか。私も大隆寺の本堂で荘厳な仏具に囲まれてのソロ。ピアノも違和感なく収まっています。というかまるで仏具そのままですね。



歴史的な建物とジャズコンサートという組み合わせ、ヨーロッパにはいくつもあります。枚方の催しがずっと続いて、それらと肩をならべるようになったら嬉しいと思います。