行政施設の料金

 こんなことを書きますと「貴方は行政施設と競争するようなことをやっているから」と言われるのを承知で書くことにします。

 行政施設は税収でまかなわれます。税収は高額所得者からも低額所得者からも比率こそ違え万人から徴集されます。しかし、多くの人が使ったり訪れたりする行政施設は大方優雅な人々に利用されている現実があるように思います。考えますと弱者(このような表現は嫌いですが良い言葉が見当たりませんでした)から徴集された税が強者に還元されているようにも思えます。利用の状況により、即ち営利度により、使用料に差を付けている例も見かけますが、民間ベースで考えた場合と比較にならない位の低料金です。

 例えば、当ホールで行われている諸々の発表会、ピアノ・弦など、があります。家には少なくともピアノはお持ちでしょうし、弦などは皆高価そうな楽器をもっています。希には、ホール使用料の何倍かのお金をお子様の衣装にかけているようなものもあります。このような発表会はかなり優雅な人々のものではないでしょうか。区別は難しいとはいえ、営利度は低いとはいえ、このような会にただ同然で使わせるのは、まさに弱者から強者への還元に思えるのです。

 一方、日本の音楽家には生活上の苦労が多いようです。売れている人、高額なレッスン教授などはほんの一握りの人に過ぎず、多くの一般音楽家の経済面は大変なようです。このような人々への援助などもまだまだ考える余地があるようです。

 最近、東京都が施設の利用料金の大幅値上げを実施すると宣言し、音楽団体が反対を唱えています。値上げには反対ということも一般的に分からないわけではありませんが、もう少し深く考えてからの行動を期待したいものです。こんなこともあります。「小さいのに高い」といわれることです。行政施設がどのような仕組みでこのような料金になっているのかも知らず、単に一面比較しているのです。「こんな人に貸すのは御免」の心境になります。でも、そのような人は以外に少ないのです。