著作権と著作権協会

 著作権というものがあります。芸術の創造者に、それを使用したときにお金を払うものです。これは、非常に重要なことと思っています。また、その収入を管理し著作者に渡すという管理団体があります。著作権協会です。

 当ホールは、音楽会を企画することを目的に建築したものではありません。発表会など気楽に使える小ホールが欠如している日本の音楽環境を考え、また行政ではこのような小ホールは無理(コストと運営費がかかりすぎる)ということで私企業として小賃貸ホールにチャレンジしたものです。音楽愛好家が増え、情緒豊かな日本になって行くことを期待しています。

 このように、基本的には賃貸をベースとしたホールはつくりましたが、音楽会もやって欲しいという要望も聞き、大幅な赤字にならないように考えながら、年数回コンサートを実施しているものです。そもそも席数が140程度で、地域で高額な入場料ともしたくありませんので、総予算は20〜40万円程度です。

 こんな中での現在の著作権料は馬鹿にならないほど大きな場合があります。ある例を示します。子供・大人平均で1500円程度の入場料の演奏会を150席程度で実施するとします。演奏会の総予算は20万円そこそこです。出演者への薄謝、ホール使用実費、多少の宣伝経費などでほとんどが消えてしまい、利益として残るものはなく(もともと利益を求めてやっているものではありませんが)、地域でご協力いただいている父兄や我々も皆無償奉仕です。対象もお子様で、情操教育要素の強いものです。このようなコンサートまでに機械的に著作権料の請求がされるのは納得できません。配慮をお願いしたいものです。

 また、小さなホールへの配慮が欲しいものです。使用料の一覧表を見ますと500席以下は一律です。これまでの音楽ホールのほとんどは行政または大きな会社で経営されており、私どものような小ホールの事例は希有なのかもしれませんが、小規模な席数のホールへの柔軟な配慮も欲しいものです。小ホールにせよ大ホールにせよ著作権管理には同じ手間がかかるという論理もありますが、それでは小さな音楽会ほど著作権などの経費率が高まってしまいます。もう一つ二つランクの低い席数への配慮が欲しいものです。世界の状況は知りませんが、このようなことも音楽後進国日本を表しているのではないかと思っています。

 さて、こんな仕事をしておりますので、報道などで著作権協会の記事が出ますと、記憶に残ります。これまで記憶に残っているものは、協会トップのもめ事や著作権収入が一般資金運用に使われバブル崩壊で損失を被ったことなどです。著作権協会などは、純粋な心の方に運営していただきたいものです、人間社会ですからいろいろと軋轢もありましょうが、報道にも出るような理事のもめ事などについてはがっかりしてしまいます。著作権収入を食い物にする協会や地位狙いの人々の集団とは思いたくありません。そもそも著作権などは、お金の中でも浄財に入るものですから。また、著作権の収入が運用され損失を出したようなことにも納得ができません。収入を一時留保するようなこともありましょうが、基本的には留保できないお金、即ち作者やその後継者に速やかに支払われるお金、と考えているからです。著作権を理解し、浄財を収めている側の立場に立ってお考えいただきたいと存じます。お金が貯まったならば音楽家の振興に使うなどもないのでしょうか。