診療所通信
        Clinic News Paper
No.101
2007/12/1

/                 川上診療所
 今年も早いもので、もう12月。例年よりもインフルエンザの発生が早く、大流行が気になります。私は冬が好きというわけではないのですが、この季節はだんだん空気が澄んできて、日の出や夕日の時刻は、夏よりも愛おしい気分になってしまいます。先日、忙しいさなか、フィラデルフィア美術館展(東京都美術館)に行ってきました。セザンヌやルノアールやピカソなど、予想通りのまばゆい絵画群に、しばし華やいだ気分です。上野に行くといつも思うことですが、美術館からの帰りは、動物園の家族連れ、年配のカップル、若い人たち、大道芸人、そして怪しげなおじさんたちまでもが、みんなみんな生き生きと感じられます。忙しさにすり減っていたり、目標が見えなくなったりしたときは、この広場が癒してくれるのでしょうね。だからたくさんの人たちが集まって来るのだろうと思います。不安と癒し、今の日本の医療はこういう場を提供できているのだろうか…、と悩むよりも、みんなと一緒に冬の暖かい夕日を楽しめたことに感謝して、その日は帰路につきました。どうぞ皆さん、つつがない年末と、良き新年を、心からお祈り申し上げます。
12月27日(木)から1月4日(金)まで休診とさせていただきます。

がん死亡数・・・・右の表は昭和30年代から平成18年まで約50年間の、がん死亡者数(女性)の変化をグラフに現したものです。胃がん、子宮がんによる死亡者は増加していません。それに比べて大腸がん、肺がんの死亡数は増加しています。大腸や肺がんほどではありませんが、乳房と肝臓と膵臓も、数字の上でほぼ同等に増加しています。現在、女性の癌による死亡は、大腸がん、胃がん、肺がんの3つが多いと言えます。


宮尾先生からのメッセージ・・・・ああ、この歳になってまだ生きる意味を探しています。この分だと、このまま答えを見つけられないまま人生を終える気がしてきました。まあ、かえって何かをわかった気になるほうが、危ないかも知れないなどと居直ったりもします。50才を過ぎるといろんなものが見えてくると人はよく言うし、昔から「不惑」などという言葉もあるのに。自分には縁遠い言葉に感じられ、ひとが歳を重ねながら普通にたどる道を、自分は超遅れて歩いているのかと不安にもなります。先日も駅の階段を登りながら考えました。「人生の究極の目標は、全ての人を愛せるようになることかも知れない…。」 ・・・・アフリカに行く前に、何かメッセージを書いて下さいと、宮尾先生に頼んでおいたら、ここまで書いた途中で、行ってしまいました。かつてバングラデシュに一緒に行った時も、インドに行った時も、津波で被災したスマトラに行った後さえも、いつでも穏やかな宮尾先生。人を愛する医者、そのヒントをぜひ見つけて来て下さいね。(後半院長)

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