2025年8月23日(土)井上記念病院8階大会議室で、第32回ももはな会を開催しました。参加人数は総勢28名でした。
 今回のテーマは「乳がんと運動について」。講師は、講演を理学療法士 骨粗鬆症マネージャーの石塚裕太先生が、実演を理学療法士 骨粗鬆症マネージャーの吉見泰子先生が担当して下さいました。
 前半は、石塚先生の講演です。運動とは何かの解説から、乳がんと運動の関連性や再発予防などに対する運動の重要性まで、運動がもたらす効果について解説いただきました。後半は、吉見先生の実演でした。吉見先生は、第2回ももはな会「リンパ浮腫予防・運動の必要性」の時にも講師を引き受けていただいた先生です。コロナ前のももはな会の時は参加者がリラックスできるように、毎回5分程度のミニ運動を教えてくれて、人気のコーナーになっていました。今回、吉見先生は、3つの運動(ヒールレイズ、片脚立位保持、立ち座り運動)を教えてくれました。
 簡単そうにみえた運動でしたが…正直、キツかった💦💦でも、参加してくれた皆さんは、吉見先生と一緒に1.2.3…と、数えながらサクサクと体を動かしていました。…キツかったのは私だけ?!日頃の運動不足を反省した日となりました。
 講演会の後は、お楽しみの茶話会を開催。医療スタッフと会員さんたちを3つのグループに分けて少人数で開催しました。カードゲームを一緒にやったり、おしゃべりをしたり…。各グループ、充実した時間を過ごすことができました。
 今年の夏は、日本の観測史上でもっとも記録的な猛暑となったそうです。ももはな会に参加いただいた皆さん、大変お疲れ様でした!

 講演内容(一部抜粋)
運動とは
乳がんと運動  手術(可動域制限、リンパ浮腫)
      化学療法(倦怠感、ケモブレイン、骨粗鬆症)
      がんロコモ
      予防・再発予防
体操
🐣
出典:厚生労働省『令和5年国民健康・栄養調査』の結果(令和2、3年は調査中止)
【運動とは】
1日7000歩(平均)歩くと…   心血管疾患による死亡率47%↓
認知症罹患率38%↓
がんによる死亡37%↓
うつ症状22%↓
2型糖尿病罹患率14%↓
週2〜3回の筋力トレーニングを行うと効果がさらに上昇の可能性あり!
歩いていない人が増えています
🐣手術と運動
手術後翌日:立ち座り、歩行等体調に合わせて開始
      ボール握り等、肘から先の運動

手術後2日目以降:上肢のストレッチを1日1回
          壁のぼり運動を段階的に開始

退院後最初の外来以降:上肢のストレッチ、ウォーキング開始


手術後1カ月:体を使った仕事やスポーツの再開
🐣化学療法と運動
運動は、倦怠感・ケモブレイン・骨粗鬆症等の副作用に有効
・倦怠感:放射線、抗がん剤共にヨガやストレッチなど座位での運動・
     ウォーキングやサイクリング等の有酸素運動で効果↑

・ケモブレイン:中等度のウォーキング+筋トレ、認知リハビリテーションが有効
        認知機能障害、不安、抑うつ、疲労感、ストレスも軽減
可動域制限の運動
井上記念病院の術後の運動プログラムです
🐣予防・再発予防
発症率の減少
  • 週に7〜10METsの高強度の運動(エアロビクス、サイクリング、水泳、
     テニス、ランニング)で乳がん発症率14%低下↓
  • 週10METsの運動で発症リスク3%ずつ低下↓
  • 週3回以上の運動が望ましい
再発率の減少
  • 週150分(1日約20分)の中程度の運動で再発リスク25%低下↓
座位時間
  • 1日7時間未満にすることが重要
死亡率
  • 週8METsの運動によって死亡率低下
  • 乳がんになってから運動しても効果あり
🐣運動しよう!
ヒールレイズ(カーフレイズ) :目的 筋力強化・骨量増加
20回×2〜3セット
頑張りましょう!