乳がん術後の暮らし
〜リンパ浮腫をすすませないために〜
和光鍼灸院 原田和江先生
リンパ浮腫は、手術後数か月以内に発症することも、術後20年以上経過しての発症もある。何年経ったから大丈夫ということはない。予防法はまだないが、リンパ浮腫をすすませないことは出来る。
発症させるきっかけをできるだけ遠ざけること。発症したら早期に治療を開始することが大切!
リンパ浮腫の原因:手術や放射線治療によるリンパ節やリンパ管の損傷
症状:*術後にはなかった腕の重だるさ、ツッパリ感 *皮膚をつまみあげると左右差がある
*静脈の見え方に左右差がある *腕がむくむ *押すとへこみがでる
リンパ浮腫は自分で見つけることができます!たとえ発症しても正しい知識と技術で悪化を防げます!
リンパ浮腫を進ませないために:*腕が疲れることをしない *食い込みをさける *皮膚をキズつけない
*清潔保持・保湿を心がける *肥満は解消
注意すること:炎症に注意!腕の発赤、熱、痛み、腫れ、全身の高熱(重症の場合)→すみやかに主治医へ
原因:リンパ節郭清による免疫力の低下。怪我、心身の過労も誘因。発症後はしばらく安静。
軽く冷やすのも可
むくみが取れなくなったら:他疾患との識別が必要。早めに医療者に相談する
リンパ浮腫と診断されたら:外科→リンパ管静脈吻合術・内科→特効薬なし 利尿剤は無効
国際リンパ学会→
複合的理学療法(CPT)を推奨
複合的理学療法 ☆ 皮膚のケア、リンパドレナージ、圧迫、圧迫下の運動
1期:集中排液期 開始4週間、入浴時以外は包帯で暮す 2期:維持期 日中は弾性着衣で就寝時は包帯を巻く
生涯にわたるCPTの継続が必要!
☆ スキンケア:*炎症がみえたら速やかに主治医のもとへ *清潔保持(スリーブは毎日洗濯)
*保湿(リンパ浮腫の皮膚は乾燥しがち *湿疹、かゆみ、あせも用の軟膏を常備
☆ リンパドレナージ:腕にたまったリンパ液を正常に機能するリンパ節へと誘導して
むくみを改善させること
※原則:リンパドレナージは手を軽くあてて、皮膚をずらすことが大切
こすることはしない
☆ 包帯による圧迫療法 暑い時は大変だが、実施すれば必ず改善する!!
☆ 弾性着衣による圧迫(弾性スリーブ・弾性手袋 ※編み方に平編み、丸編みがある)
※弾性スリーブでかえって手の甲や指に浮腫を起こすことも
*一部で二重になったり、食い込むような装着はしない
*就寝時は外す *使用期限は約半年
*リンパドレナージと併用する
☆ 圧迫下での運動療法 *放射線射野は無理に動かさない *疲労を残さない
*ストレッチのような軽いものから
リンパ浮腫を発症したら複合的理学療法を続けることで悪化は防げる!
禁忌症など注意点があるので自己判断で治療を始めるのは危険
いつからでも間に合うが、発症初期にはじめる方がケアが簡単
「あきらめない事」が大切!!