大分・日出生台演習ー松川総監暴言問題2002.11

 

『北朝鮮抑止訓練』の陸自総監発言

小泉、吉岡議員が追及

防衛庁が認める


 陸上自衛隊の松川正昭西部方面総監が、大分・日出生台での日米共同演習への反対集会参加者に対し、「北朝鮮抑止のための訓練だ」「何が反対なのか」と暴言を吐いていた問題で防衛庁は11月28日、調査結果を参院外交防衛委員会理事会に報告し、こうした発言があったことを認めました。

 同庁の調査は日本共産党の小泉親司議員が「発言内容の事実関係について明確にすべきだ」と要求していたものです。石破茂防衛庁長官は11月21日の同委員会で「総監は・特定の国名を挙げていない」などと擁護していましたが、事実と異なることが、調査で明らかになりました。

 調査結果によると、松川総監は演習の視察後、演習場正門ゲート付近を車で通過した際に反対集会に遭遇。参加者に歩み寄って「どうして(演習に)反対なんですか」と問い詰めました。

 参加者から共同演習と北朝鮮の関係について問われると「北朝鮮のですね。拉致とか、不審船を含む抑止態勢ができるのです」と発言しました。

 小泉氏は同理事会で、「そもそも自衛隊幹部が自ら出向いて反対集会参加者に『なぜ反対するのか』と発言する行為自体が憲法上、大きな問題だ」と指摘。「長官は責任を明らかにすべきだ」と要求しました。

 また、日本共産党の吉岡吉典議員は理事会後の同委員会で、松川総監が戦闘服で身を固め、部下の制止を振り切って参加者に詰めよろうとしている写真を示し、「『憲法の順守』を宣誓して任命した自衛隊幹部のあり方を検討すべきだ」と求めました。

 石破長官は、「このような印象を与えたことはきちんと認識して対応していかないといけない」とのべ、、松川総監の対応に問題があったことを認めました。(しんぶん赤旗より)


「北朝鮮抑止のための訓練だ」──日出生台演習場ゲート前での陸上自衛隊西部方面隊総監の発言で思うこと

日本共産党衆議院議員小沢和秋国会事務所 担当  篠原常一郎
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 11月19日付「大分合同新聞」の「『訓練は北朝鮮への抑止力、なぜ反対するのか』演習場前での集会中止求め陸自総監が詰め寄る」との記事を見た時、率直にいって我が目を疑いました。そして、後で取り寄せたカラーの報道写真を見て、思い出したのは次のような言葉です。

「君達は自衛隊在職中決して国民から感謝されたり歓迎されることなく自衛隊を終わるかもしれない。きっと非難とか誹謗ばかりの一生かもしれない。ご苦労なことだと思う。しかし、自衛隊が国民から歓迎され、ちやほやされる事態とは外国から攻撃されて国家存亡のときとか、災害派遣のときとか、国民が困窮し国家が混乱しているときだけなのだ。言葉をかえれば、君達が『日陰者』であるときの方が、国民や日本は幸せなのだ。耐えてもらいたい」

これは、吉田茂首相が防衛大学校第一期卒業生の祝辞の中で述べた言葉といわれるものです。自衛官の生活を密着取材して書かれたルポルタージュ『兵士に聞け』(杉山隆男著、新潮社刊)の中で紹介された93年度防大卒業式での校長挨拶の中で引用されています。
「憲法違反の自衛隊」でありますが、創草期においては戦争中までの軍人が大手をふって闊歩していた時期への嫌悪と反省があり、「(自衛官が)『日陰者』である方が、国民や日本は幸せ」との言葉はそれを反映したものと思います。「自衛隊は違憲」「戦争絶対反対」の立場とは異なる考え方に基づいたものとはいえ、吉田首相の言葉には悲惨な戦争と軍国主義への反省が深く込められたものとして、胸に落ちるものを感じます。

 それに比べて、今回の事態をどうとらえたらよいのでしょうか。今回、写真で「部下に制止される」総監は、1969年に防衛大学校を卒業しています。こうした幹部自衛官としての心得は、どこにあるというのでしょうか。地元の人々が、「戦争中の軍人の再来を見るようだ」と言われているのも、むべなるかなと思わざるを得ません。

 この問題については、わが党の赤嶺政賢衆議院議員が「総監の行動は威圧や威嚇にあたるのではないか」「集会の自由を侵すのでないか」と質問した他、11月26日に防衛庁が提出した調査結果報告等についても小泉親司参議院議員が28日の参院外交防衛委理事会の場で批判し、続く委員会で吉岡吉典議員が「憲法遵守を宣誓して任命された幹部自衛官のあり方としてどうなのか」と厳しく追及しました。

 別掲の防衛庁提出の報告書「陸上自衛隊西部方面総監発言(平成14年11月18日)について」及び「西部方面総監と集会参加者とのやりとりの概要」について、ぜひ一読していただきたいのですが、ここでは報道で指摘されている「(総監が)反対集会の中止を求めた」ということについては否定しているものの、これまで日米共同演習について防衛庁が説明してきた内容と異なる「北朝鮮のですね。拉致とか、不審船を含めてテロを含む抑止態勢ができるのです。北朝鮮を含むあらゆる事態に対応するための日米安全保障条約に基づき訓練しているのです」との総監の発言があったことを明確に認めました。これは、私が先にローカルネット日出生台の皆さんに提供した説明聴取報告書の内容を改めて裏付けるものとなりました。

 いずれにしろ、今回の出来事は日本の自衛隊が「イラク攻撃も辞さず」としているアメリカ軍と共同して軍事訓練を進め、同時にそのための戦争支援法を制定した上に有事法制の成立を目指す中で、今までの「憲法の枠内での専守防防衛」から大きく役割をはみだしていかざるを得ないというジレンマが色濃く反映したものといえます。

 その後の報道で、方面隊が日米共同演習について記者会見を行わない決定をする等の事実が明らかにされ、「総監は演習の意義を理解してもらうために集会に赴いたので、何ら問題ない」とのこれまでの防衛庁の説明は破綻してしまいました。そして、吉岡議員の追及で石破防衛庁長官も事実上、総監の対応に問題があったと認めるに至ったのです。

 11月17日に開かれた日米共同訓練・有事法制反対大分集会」で、日出生台・「人見会」の衛藤洋次さんが「日出生台は百年の歴史があります。ぼくはそう思わないけれど『共存共栄』『自衛隊のすることはまあいいか』という住民が結構います。(自衛隊の)OBも、子どもさんが勤めているという人も、娘のだんなさんが自衛隊さんという人もいます。

 そうした中で「自衛隊のすることにノーといえないんですね」と訴えの中で話されていますが、私は別の方からもこの地域と自衛隊との特別の関係というか、つながりの深さについて説明を受けたことがあります。朝鮮戦争の頃、横暴をきわめた駐留米軍を追い出すため、地元の人々が陸上自衛隊の誘致運動をしたこと、その後、地元からも自衛隊に入る人や隊員と家族が結婚した人、あるいは家族の自衛隊員の転勤でこの地に定着した住民など、他の地域には見られない独特のつながりを作りだしてきたのです。

 こうした地域と自衛隊との関係を、根本的に揺るがしたのが「沖縄の負担の軽減」と称して五年前から強行された「米海兵隊155 ミリ榴弾砲実弾射撃演習の移転」です。これは、「沖縄と同質同量」どころか、沖縄では不可能だった実戦さながらのあらゆる状況を想定した訓練が毎年のように日出生台演習場で行われてきました。そして、今回のより大規模な、「テロ対処」を看板にした本格的軍事訓練の強行と、アメリカ軍をひきいれての演習はエスカレートしています。自民党政府による有事法制の成立への動きと軌を一にした「アメリカと共に戦争をする日本」への道の具体化です。

 しかし、こうした動きも矛盾や抵抗なしに進みません。今回の「暴言」事件は、戦争を望まない国民、「専守防衛」の枠をはみ出そうとする自衛隊、そして「日米共同訓練」「海兵隊訓練」の強行で亀裂が広まる地域と自衛隊との関係、これら諸々の矛盾と問題が反映したものといえそうです。また、あわせて言えることは、「日米軍事同盟最優先」で動こうとする自衛隊と国のあり方に、日出生台周辺の住民による粘り強い平和運動が大きな縛りをかけていることをも示しているといえるでしょう。

 怒りと焦燥にかられた目で反対集会主催者をにらむ総監、腕をつかんで制止する第四師師団長(防衛庁の記録では、総監に「やめなさいよ」と声をかけています)、総監の方に向かって手を広げて押し止める師団広報責任者の三等陸佐。大分合同新聞に掲載された写真は、日米共同訓練の強行で地域住民との矛盾をはからずも深めつつある今日の陸上自衛隊の姿を端的に示したものだ、と感じています。(2002年11月29日記)


陸上自衛隊西部方面総監発言(平成14年11月18日)について

平成14年11月26日
防衛庁

1.発言の経緯

 11月18日、松川正昭・西部方面総監(陸将)が、日出生台演習場(大分県)において実施中の陸自と米海兵隊との間の日米共同訓練を視察した際、同演習場ゲート付近において本訓練め中止等を求めて集会を開いていた団体の方々と遭遇し、両者の間で一連のやりとりがあったところである。

2.調査の方法

 上記やりとりについて・本人及び現場にいた複数の隊員からの聞き取り調査を行ったところ、当時の状況は別添のとおりである。この内容については、当該場面についてのテレビ報道等が利用可能な場合は、それと照合・確認し、正確を期すよう努めた。

3.調査の結果

(1)西部方面総監は、日米共同訓練の意義を理解して貰うことが必要であると考え、団体の責任者に説明しようとした。

(2)西部方面総監は、その際、共同訓練反対の理由を尋ねた。

(3)西部方面総監は、この訓練が我が国の防衛とその抑止力の向上につながるものである旨説明し、日米共同訓練が報道されることが我が国の抑止力の向上に資する旨説明した。

(4)西部方面総監は、日米共同訓練が北朝鮮を含むあらゆる事態に対応するためのものであると述べているが、北朝鮮という特定の国を対象として訓練を行っているとの説明は行っていない。

(5)西部方面総監は、反対集会の中止を求めていない。

 

西部方面総監と集会参加者とのやりとりの概要

1 日時
 11月18日(月)1540頃〜1545頃(約5分間)

2 やりとりに至る方面総監の行動

○18日1540頃、演習視察終了後、車両により演習場正門ゲート付近を通過した総監は、集会参加者と遭遇した。

○この際、総監は、日来共同訓練の意義等を理解してもらうことが必要であると考え、車両を止めて下車し、参加者に歩み寄った。

3 やりとりの概要

(車両を止めて下車し、参加者に歩み寄り以下のやりとりあり。)

総監 責任者は、どなたですか。
(参加者が責任者の所在を示す)

総監 あなたが責任者ですか。
(参加者からの総監に対する誰何に対して)

総監 私は、方面総監です。日米共同訓練に反対する理由は何ですか。我々は、日米安保条約に基づき国を守るために訓練をしているのです。

総監 どうして反対なんですか。
(参加者から反対は当然である旨の発言に対して)

総監 何が反対なんですか。
(参加者から反対の是非に言及したいのかとの問いに対して)

総監 日米共同訓練をやっているんです。
(参加者からそれを知った上で反対している旨の発言)
(参加者から北朝鮮に関係あるのかとの問いに対して)

総監 北朝鮮のですね?拉致、拉致はですね。
(参加者から北朝鮮という言葉を繰り返す発言あり)
(参加者からの日米共同訓練と北朝鮮との関係に関する問いに対して)

総監 北朝鮮のですね。拉致とか、不審船を含めてテロを含む抑止態勢ができるのです。北朝鮮を含むあらゆる事態に対応するため日米安全保障条約に基づき訓練をしているのです。
(参加者から訓練は日本国憲法にのっとっているのかとの問いに対して)

総監 我が国の安全と国民の拉致事件が起こらないようにですね、やっていることですから。
(参加者から日米共同訓練は北朝鮮を対象にしているのかの問いに対して)

総監 いいえ。我が国に対するいろんな侵攻とか、テロ作戦に対してもできるようにやってるんです。そういうことが、アメリカと自衛隊がやっているということが、これが報道されると周辺の国が我が国に対して攻撃できない抑止態勢ができるんです。だから我が国の安全ができるんです。
(参加者から意見が違うから反対している旨の発言あり)

総監 そうじゃないんです。
(参加者から何の立場で何が言いたいかとの問いあり)

師団長 (間に入って、)やめなさいよ。
(参加者から、やめなさいなどと言われる筋合いはない、あなたは言う権利はない、国民の税金で食べている人の態度か旨の発言あり)

師団広報室長 私が対応しますから。
(参加者から、きちんとしなさいとの発言あり)
(師団長に促され、いったん車の側に戻ったところ、参加者が総監に近づき、以下のやりとりあり)
(参加者から、名を名乗るよう発言あり)

総監 私は、西部方面総監松川正昭、昭和21年1月2日樺太生まれです。
(参加者から、自衛隊の横暴ではないか。自衛隊は横柄になっている旨の発言あり)

師団広報室長 私の方で対応しますから。
(師団長が再び総監を促して車の位置へ前進)

○1545頃、総監は湯布院方向に車両にて移動。


大分 演習場前地元住民団体が集会

陸自総監の暴言に抗議


  陸上自衛隊西部方面総監部の松川正昭総監が、大分県湯布院町の日出生台演習場ゲート前で開かれていた日米共同演習反対集会に現れ、「なぜ訓練に反対する訓練は北朝鮮への抑止力になる」と暴言を吐いた問題で、地元住民グループ「米軍基地と日本をどうするローカルネット大分・日出生台」は11月21日、日出生台演習場ゲート前で抗議集会を開きました。

 同ネットの浦田龍次さんは「集会にいきなり乱入してきて、集会中止を求めたり、『北朝鮮への抑止力だ』などと暴言を吐くのは国民の言論・集会の自由の権利を軽視している。このような責任者のもとで強行された日米共同訓練の動きに大きな恐怖を感じる。有事法制も絶対に認めることはできない」と訴えました。

 集会後、小泉純一郎首相、石破茂防衛庁長官あてに同総監の謝罪・辞任を求める抗議文を、陸上自衛隊西部方面総監部の鶴田政仁広報幹部に手渡しました。

 20日には、松川総監の暴言を受けた集会主催者「日出生台対策会議」(岩崎正文議長代行)が同総監にあてて、発言の撤回、謝罪および会談を求める申し入れ書を、陸上自衛隊第四師団広報室長に提出しました。(しんぶん赤旗より)


防衛庁が調査へ

共産党の追及うけ


 陸上自衛隊の松川正昭・西部方面総監が、日米共同演習に反対する抗議集会に対して暴言を吐いた問題で、石破茂防衛庁長官は11月21日の衆院安保委員会で「訓練の意義を理解してもらうために説明しただけ。集会をやめろとはいっておらず、集会.結社の自由は侵していない」しつつ、「(松川総監の発言が)威圧、集会中止の圧力と受けとめられるのなら、問題があったと考えないといけないかもしれない」とのべ、事実関係の調査をする意向を表明しました。

 日本共産党の赤嶺政賢衆院議員が「松川総監の暴言は憲法に保障された集会・結社の自由という国民の権利をじゅうりんするもの。松川氏への厳正な処分、発言の撤回を要求する」と追及したのに答えたもの。

 小泉親司参院議員も外交防衛委員会で松村龍二委員長に対し、「松川総監が集会中止を求めたのかどうかをふくめ、実際にどのような発言があったのか明確にすべきだ」と要求。同委員長は「次回の理事会で検討する」と答えました。石破長官も「何がどうだったのか調べる必要がある」とのべました。(しんぶん赤旗九州・沖縄面より)


日出生台演習抗議集会に

「訓練は北朝鮮に対する抑止力」

陸自総監車から降り暴言

日本共産党が抗議


 「訓練は北朝鮮に対する抑止力だ。反対集会を開くと報道が集まり、訓練内容が敵国に知られる。なぜ訓練に反対するのか」――。松川正昭・陸上自衛隊西部方面総監が11月18日、日出生台演習場(大分県)のゲート前での日米共同演習反対集会を準備する参加者に、こう暴言を吐いていたことがわかり、日本共産党の加藤純子県議らは20日、石破茂防衛庁長官あてに抗議の申し入れ書を送りました。

 松川総監は、巡視中に車から降りてきて、この暴言を吐きました。

 申し入れ書では、松川総監の発言が、憲法が保障する表現の自由をじゅうりんする許しがたい行為だと批判。さらに、「有事法制の危険な正体と本音をあらわしたもの」と強調した上で、(1)松川総監の厳正な処分(2)「北朝鮮への抑止力」を明言する同演習の中止(3)有事法案の廃案―を要求しました。

 この問題では、地元紙でも「制服組トップが暴言」・の見出しで、「(共同演習が)防衛庁側の『イラクや北朝鮮などを特定した訓練ではない』とする説明とも大きく食い違い、集会の中止を求めるに至っては、明らかに行き過ぎ」(大分合同新聞、11月20日付)と報じるなど、厳しい批判の声があがっています。

 防衛庁陸上幕僚監部は「北朝鮮を含めた不特定多数の国に対する訓練の意義を説明しようとしたもので、問題はなかったと認識している」としています。(しんぶん赤旗より)