岩井薬剤師会学術情報平成12年7月版

 

不整脈について

<不整脈とは>

 不整脈は心臓のリズムの障害である。健常人は1分間に60〜70回、規則正しく拍動しているが、これが速くなったり遅くなったり、リズムが乱れたりと心臓の異常な拍動をいう。
<心電図の波形>

波形の各部はP、Q、R、S、Tと名づけられている。 P波(心房の収縮)、QRS波(心室の収縮)、T波(心室の収縮が終了した直後)。



<心筋の収縮とイオン>

細胞内にはKイオン、外にはNaとCaイオンが存在している(内側がマイナス、外側がプラスになっている)。刺激により、Naイオンが、次いでCaイオンが流れ込み、細胞内電位がプラスに傾き脱分極する(この時心臓が収縮する)。その後Kイオンが細胞外に出て電位が戻る。この後、Na, Ca, Kはゆっくりと細胞外膜を通過し、元の状態に戻る。各イオンが通り抜けるのがイオンチャネルであり、他のイオンは通過できない。

<刺激の伝導>

心臓のリズムは洞結節から発生する。この刺激は洞結節→心房内伝導線維→房室結節→ヒス束→右脚・左脚→プルキンエ線維へと伝わる。伝導速度は各部位によって1m/秒(心房内伝導線維、右脚・左脚)または1cm/秒(房室結節→ヒス束)と違いがあり、心拍を生み出す。

<不整脈の原因>

原因となる疾病:器質的心疾患(狭心症、心筋梗塞、高血圧などにより心筋細胞が障害され、機能を損なう)、甲状腺機能亢進症(交感神経刺激物質が過剰に産生され心臓が異常に活発化する)、電解質異常(低カリウム血症、低カルシウム血症などによりイオンのバランスが崩れ、電気信号が正しく伝導しなくなる)

疾病以外の原因:ストレス、疲労、タバコ、コーヒー、酒、薬剤(ジギタリス、キニジン、プロカインアミド、ジソピラミドなど)→いずれも交感神経を刺激するため。

<不整脈の種類>

不整脈は頻脈性不整脈100回/分以上)と徐脈性不整脈(60回/分以下)に分けられる。

薬物療法は頻脈性不整脈にのみ有効である。さらに心房性を上室性不整脈、心室性を心室性不整脈という。このそれぞれに期外収縮(異常な場所で刺激が発生し、リズムが乱れる)、頻拍(期外収縮が連続するもの)、粗・細動(心筋の収縮がバラバラにあちこちで起こり、まともな収縮が出来ないもの)がある。


<不整脈の重症度>

1.致死的不整脈:心室粗・細動

2.致死的不整脈に移行する恐れのあるもの:心室頻拍、torsades de pointes(トルサーデポアン)

3.血行動態を悪化させ脳塞栓などの合併症の恐れがあるも:発作性心房粗・細動、発作性上室性頻拍

4.動悸が主徴であるもの:心室性期外収縮、上室性期外収縮

<抗不整脈の分類:ボーン・ウィリアムス分類>

クラスI群薬Naチャネル抑制薬(Naイオンの流入を抑え、異常な刺激伝導を抑えて正常なリズムを保つ。Naチャネルとの結合時間でfast(短)、intermediate(中間)、slow(長)に分類される:fast=メキシチール、アスペノン。Intermediate=リスモダン、シベノール、アミサリン。Slow=サンリズム、プロノン)

クラスII群薬:β遮断薬(β受容体は心房にあるため、上室性不整脈に有効。狭心症や高血圧を合併している症例に適する:インデラル、その他のβ遮断薬)

クラスIII群薬Kチャネル抑制薬(不応期の延長により効果を示すが、重篤な副作用の頻度が高いため、オーファンドラッグである:アンカロン)

クラスIV群薬Caチャネル抑制薬(Caチャネルは洞結節と心室結節に多いので上室性不整脈に有効である。狭心症や高血圧を合併している症例に適する:ワソラン、ヘルベッサー)

以上

 

平成12年7月31日(月)

山浦