〜 学術研究のご紹介 〜

 

 

院長である磯部潮の研究活動をご紹介します。
 医学雑誌に2000年度以降に掲載された
学術論文(全文または抄録)の一覧です。

 

家庭における子どものストレス
(児童心理, 第827号, 41-45, 2005年8月号)

身体表現性障害
(今月の治療, 第12巻7号, 93-95, 2004年7月号)

心気症
(別冊 日本臨牀 領域別症候群シリーズ No.38 精神医学症候群I,
537-541, 2003年6月)

精神科クリニックよもやま話
都市郊外精神科クリニックの現状と展望
〜 地域ケアシステムの構築をめざして 〜
(臨床精神医学, 2003年5月号)

 

 境界性人格障害の「境界性」に関する一考察
──事例化という観点から──
 (精神療法, 第27巻4号, 392-401, 2001年)

 

心気症から身体表現性障害へ
(臨床精神医学, 第29巻第7号, 769-776, 2000年)

 

プライマリ・ケアにおける精神症状とその対応
身体表現性障害

(JIM, 第10巻第9号, 753-756, 2000年)

 

思春期中心型デイケアの試行をめぐって
──分裂病群と不登校群の対比を通して──

(日精診誌, 第6巻第2号, 12-23, 2000年)

 

第2回金子賞(日本総合病院精神医学会)授賞の記事はこちらです。


 家庭における子どものストレス
  (児童心理, 第827号, 41-45, 2005年8月号)

全文は こちら(全5ページ)

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 身体表現性障害
  (今月の治療, 第12巻7号, 93-95, 2004年7月号)

全文は こちら(全3ページ)

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 心気症
  (別冊 日本臨牀 領域別症候群シリーズ No.38 精神医学症候群I,
 537-541, 2003年6月)

全文は こちら(全6ページ)

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 境界性人格障害の「境界性」に関する一考察──事例化という観点から
 (精神療法, 第27巻4号, 392-401, 2001年) 磯部 潮 高橋 潔
【抄録】近年、境界例の増加が指摘されているが、中核をなす「病態」は統一的な見解には至っていない。この事態は境界例そのものが異常/正常の枠組み、病気/健康の枠組みでは捉えきれないからであろう。この発想からは次の問いが俎上に昇る。1)われわれのもちうる境界性とはいかなるものであるのか、2)なぜわれわれは境界性をもちながらも事例化に至らないのか、3)われわれの境界性と境界例患者のもつ境界性とはいかなる相違があるのか、そしてこの3点を検証する必要性が生じるのではないか。しかし現時点では、境界性そのものが明確化されておらず、当然これらの3点を明らかにすることも困難である。本論は DSM-IV によって境界性人格障害の診断基準を満たす3症例を呈示し、これら3症例が境界例の中核群に該当するものかを文献的に概観した。その上で症例群の対人関係に焦点を絞り、彼らの境界性が、(A) 事例化出来以前、(B) 事例化直前、(C) 事例化後の3期において、どのように変遷するのかを辿った。そしてその比較結果および3症例の検討によって、(A) 事例化出来以前の境界性、(B) 共生関係を構築するパートナー喪失後の境界性、について事例化という観点を含めて精神病理学的に考察し、(C) 「安らぎへの希求と不安定な状況への嗜癖性という相反する心的状態の併存」という境界例の心的構造を明確にした。さらに境界性が時を経てどのように変遷していくのか、すなわち境界性の消長についても言及した。

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 心気症から身体表現性障害へ
 (臨床精神医学, 第29巻第7号, 769-776, 2000年)
【抄録】心気症という言葉は、その起源を紀元前に有し、それぞれの時代や疾病観を反映しさまざまに定義されてきた。しかしその概念はいまだ多義的で不明確である。そしてDSMーIIIでは心気症は身体表現性障害の一型として扱われるようになり、身体表現性障害という概念が採用された。さらにわが国で使用されてきた心気症の概念は欧米に比べて多様である。そこで本総説は心気症概念を明確化し、身体表現性障害と心気症の病態の相違を明らかにすべく論述を行った。20世紀初頭までの心気症の歴史的概観、心気症が独立の疾病単位なのかという問題、欧米の神経症圏の心気症の概観、わが国の神経症圏の心気症の概観、心気症および身体表現性障害の包含する病態およびわが国と欧米との相違について考察した。さらに近年身体表現性障害あるいは心気症が述べられる際にしばしば触れられる、「健康な」心気症、「身体化」、心気症の共罹病性についても言及した。

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プライマリ・ケアにおける精神症状とその対応 身体表現性障害
 (JIM, 第10巻第9号, 753-756, 2000年)
【抄録】総合診療誌『JIM』において「プライマル・ケアにおける精神症状とその対応」と題する企画がなされた。本邦においてプライマル・ケアの重要性は1980年代前半から唱えられ、多くの専門家によって多くの検討がなされているが、プライマル・ケア医に対して、精神医学の診断や治療を普及させる実地教育はまだ始まったばかりである。2000年を迎えた現在、社会はよりよい医療を求めており、そのためのさまざまな計画が既に立案されている。卒後教育の問題に関しては21世紀にはどのような医師が求められるかの構想が政府によって提案されているが、その中でプライマル・ケアおよび包括医療を目指す医師の育成に主眼を置くならば、精神科の知識や経験は必須である。この視点からこの特集が組まれ筆者は身体表現性障害の章を担当した。項目は1)身体表現性障害の疾患概念 2)心気症から身体表現性障害へ 3)ケース 4)症状と診断 5)治療 6)専門家への依頼である。

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思春期中心型デイケアの試行をめぐって

 ──分裂病群と不登校群の対比を通して──
 (日精診誌, 第6巻第2号, 12-23, 2000年)

【抄録】近年精神科デイケアは急増しており、患者に対する有用性とともに長期利用の弊害も指摘されている。筆者は無床総合病院精神科において、精神科・小児科合同の思春期中心型デイケアを試行した。
 デイケア開設の平成9年7月から平成10年1月までの6カ月間の集団力動を分裂病群と不登校群に分け、導入期・試行期・今後の課題と展望、として考察し、以下の知見を得た。

 

1)

思春期中心型デイケアにおいて、分裂病群と不登校群は同じ空間を共有することは不可能であった。

2)

開設当初短期間で分裂病群の急速な改善が認められた。

3)

不登校群はデイケア集団には適応できず、小グループ集団を構成したが機能せず個別面接へ戻った。

4)

不登校群は分裂病群との年齢差を強く感じていた。

5)

数か月を経た頃から、分裂病群の中で社会復帰を焦り、調子を崩すメンバーが出現した。

6)

今後の課題として、個別対応の必要性、不登校群の親グループおよび作業プログラムの導入が検討された。

 

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