■パーマカルチャー
パーマカルチャー(PermanentとAgriculture,Cultureを合成した言葉)とは、多様な要素を互いに協力し合う関係に配置し、生態系が本来持っている生産力を最大限に引き出し、持続可能な生活環境を、生活者自らの手でつくってゆくデザイン体系である。
ビル・モリソンがパーマカルチャーを提唱したのは1974年であり、当時は永続的な多種作物農法としてスタートした。しかし多くの人々が関わっていくなかで適用範囲が広がり、農業生産の場面だけでなく、現在では生産者と消費者をむすぶ流通体系、新たな経済活動(例えば金融や生協的事業)、住区整備、循環型の地域づくりなど社会全般において応用されている。発祥の地であるオーストラリアはもとより、パーマカルチャーは世界中に普及しつつある。
■ゼロ・エミッション研究構想
多様な産業を組み合わせることで、個々の企業活動に伴って発生する廃棄物をゼロにする方法を探ろうというのが、国際連合大学のゼロ・エミッション研究構想である。ある事業からの廃棄物を、他の事業の原材料として利用するという産業クラスターをつくることで、環境負荷を少なくすると同時に、生産性の向上を図るものである。この実現のためには、既存の産業構造の見直し、新たな産業連携と革新的な技術革新が必要になるが、21世紀に向けての産業のあり方として、大きな注目を集めている。
現在ゼロ・エミッション研究構想で具体的に取り組まれているものには、ビール醸造業と水産養殖業等の組み合わせ、ヤシ油ビジネスから派生するパーティクルボード事業、海草からのバイオケミカル物質の抽出などがある。
■台所と農業をつなぐながい計画(略称:レインボープラン)
山形県長井市の同計画は、家庭や事業所から分別回収した生ごみで堆肥をつくり、その堆肥を農家に供給し、農家が生産した農産物を今度は市民や事業所が購入するという地域循環をつくることを目標としている。市街地4500世帯の一般家庭と農家などが協力して、有機資源をリサイクルし、自然環境の改善と健康な食生活をつくり出し、また関係者の経済的、非経済的利益も実現することで、自然と人間の永続的な共存を図っていこうとするものである。1988年からの市民参加型のまちづくり活動をきっかけに始まったこの計画は、農家、消費者、流通、行政関係者などの共同で進められてきたモデル事業を経て、96年冬から本格的にスタートする。
■宮古島エコロジーパーク構想
環境負荷の少ないパルプ工場を中心に、情報発信型のファクトリーパークを開業('98年予定)、あわせてゴミゼロ地域づくりをめざすのが、沖縄県宮古島の同構想である。
パルプ工場は、製造工程において有害廃棄物を排出しないPA法により、バガス(サトウキビの搾りかす)からパルプを製造するもので、工場からの排出物は醸造業のかす(焼酎かす)、牛肥などと混合され、そこから肥料、飼料、ガスなどが採取され、農業などで再利用される。
また生産設備と同時に、環境に関連する適正技術を学べる公園も整備し、PA法ならびに持続可能な地域モデルに関連する情報拠点をつくることを目的としている。PA法は非木材資源を容易にパルプ化できる革新的技術であり、世界各国から注目を集めている。