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阪南中央病院労働組合の要求/見解/主張



現代の「姥(うば)捨て山」=後期高齢者医療制度に全国各地で反対の声が急増!
改めて中止・撤回を訴える!

新制度「反対」意見書採択の地方議会が500を突破


 75歳以上の高齢者を「後期高齢者」と名づけ、独立の保険制度をつくり、対象者全てを加入させ、年金から保険料を徴収、一年間滞納すると保険証を取り上げる「後期高齢者医療制度」。別立ての診療報酬では医療内容の制限も狙われており、高齢者の医療を制限する、まさに現代の「姥(うば)捨て山」です。今年4月の制度導入が近づいてきて、そのひどい内容が知られるとともに、不安・反発が広がっています。それを反映して、中止・撤回または見直しの意見書を採択した地方議会が、2月始めの段階で500を越えたそうです。私達が署名を準備していた昨年10月には、約200議会だったのが、3ヶ月あまりで2.5倍増。全国の地方議会1800の内、3割近くが、異議申し立てを行っているのです。いかに問題が多い制度かがこのことだけでも分かろうというもの。この反対の声に押される形で、独自に保険料を減免する措置をとる自治体も出てきました。
 私たちの署名運動も、この全国的な反対機運の高まりの一翼を担ってきたといえます。来週の署名集約集会、提出行動を多くの組合員・職員の参加で成功させて、制度反対の声をさらに強くしていきましょう!

高齢者に「悪魔の選択」を強いる冷酷

 この制度の施行準備担当の厚生労働省官僚は、厚生労働省の本音をあからさまに述べています。ある地方のフォーラムで、この制度の創設趣旨をこう述べたそうです。「医療費が際限なく上がっていく痛みを自分の感覚で感じとっていただくことにした」。後期高齢者医療制度は、医療給付費が増えれば、2年に一度の保険料見直しで保険料がアップする仕組みになっています。そのことを指しての発言でしょう。つまり、75歳以上の高齢者に対し、医療にかかって医療費が増えれば増えるほど、その分保険料アップの「痛み」となって跳ね返るぞ、と脅すために創ったと言いたいようです。75歳以上の高齢者が医療にかかるのを我慢するか、それとも保険料アップを覚悟して医療を受けるか、まさに「悪魔の選択」(選択肢を限定し、いずれを選んでも大きな犠牲をもたらす)を強いる無慈悲・冷酷以外の何ものでもありません。これはもはや国による高齢者虐待といっても言い過ぎではないでしょう。

「悪質」なのは滞納者でなく、国・厚労省だ

 後期高齢者医療制度は、現行老人保健法では禁じていた保険料滞納者からの保険証取り上げと10割自己負担を強行します。これはどのような結果をもたらすでしょうか。現在の国保の「資格証明証」を発行された人の受診率は極端に低下、医療を受けられずに亡くなるケースが全国各地で報告されています。75歳以上の高齢者にこれを適用すれば、医療を受けられずに手遅れになり亡くなるリスクが高まるのは明らかです。しかし、先の厚生労働省官僚はこう言ったそうです。「後期高齢者の人たちは現在きちんと保険料を納めている人が多いので、滞納者になる人は悪質な人である」と。まるで滞納者を犯罪者扱い。「悪質」だから保険証取り上げ、10割負担もやむなしと言いたいのでしょうか。では、年金天引きでなく自分で払いに行かなければならない、年金額月1万5千円以下の低年金や無年金(全国260万人いるそうです)の高齢者が、保険料を納められなければ「悪質な人」なのでしょうか。受診を手控え、手遅れになるのも仕方ないのでしょうか。断じてそうではありません。「悪質」なのはそのような高齢者がいるのを知っていいながら手を差し伸べず、切り捨てる国の方です。

やっぱり出てきた医療制限

 現在検討されている後期高齢者診療報酬で、75歳以上の高齢者が複数の医療機関にかからないように制限を狙う「高齢者担当医」(仮)なるものの新設が検討されています。主病の医学管理を一医療機関に限定、国民皆保険制度で保障されている「フリーアクセス(いつでも・どこでも・だれでも)」を制限し、高齢者医療を充実どころか「狭き門」にしようとしているのです。現代の「うば捨て山」を作るな!反対の声を上げ続けよう!

  組合ニュース第5066号(2008年2月8日発行)より

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