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私たちの訴えと取組み

生きる権利を奪い続ける
  「脳死」と「尊厳死法案」に反対する

 死は誰もがいつかは迎えるものです。自分が死ぬときは尊厳のある良い死に方をしたいと誰もそう思います。「尊厳死」という言葉は、あたかもすばらしい死に方を意味しているかのように聞こえます。しかし、現実に提案されている「尊厳死」法は、「終末期の患者が自らの意思で延命措置をしないこと、あるいは、中止することを尊厳死」と規定して進めようとしています。この様な法ができれば、人工呼吸器などつけて必死で生きている命が、尊厳のない命として差別されることになりかねません。これは、終末期医療、障害者、高齢者医療の切捨てであり、国の医療費削減政策です。本来必要なのは、命を全うする最期まで穏やかに尊厳を持って安心して生きられる社会であり、そうなっていないことが問題なのです。「尊厳死」と言うきれいな言葉で、「どうせ助からないのだから」「どうせ高齢でそう長くないのだから」「どうせ意識がないのだから」「どうせ障害者だから」…と「無益な治療」として命を切り捨てていくことを法律で決めることがどれだけ恐ろしいことなのか。是非集会に参加して、考える機会にしてほしいと思います。
 集会では、「死の自己決定権のゆくえ〜尊厳死・「無益な治療」論・臓器移植」の著者、児玉真美さんの講演があります。

「死の自己決定権のゆくえ」の紹介

 児玉真美さんは、重症心身障害のある子どもさんの親であり、この本では日本の尊厳死法制化の議論を念頭に置きつつ、、安楽死や自殺幇助が合法化された「先進国」で一体何が起こっているのか。世界の「死の自己決定権」の周辺では何が起こり、一体どこへ向かおうとしているのか、多くの事例が紹介されています。
 例えば、アメリカのオレゴン州では、ガン患者が主治医にすすめられた抗癌剤治療を受けたいと保険制度のメディケアに申請したが認められずに自殺幇助を含む緩和ケアは認められる、といったことが起こっています。医療そのものが受けられず、死に追いやられているのです。また安楽死が進んでいるオランダでは、終末期の患者だけでなく、認知症が進行した患者、高齢者、脳障害を持った患者にも安楽死が行われるといった事態が進行しています。英国で進行しているのが「無益な治療」論による一方的な治療の停止と差し控えです。「どうせ」重症障害者だから、「あなたは延命、救命してもどうせ要介護状態になるから」だから、「あなたへの医療コストは無益」と拒否されてしまうのだとしたら、「死ぬ」という一方向だけに尊重される「自己決定権」が、本当に患者の自己決定の「権利」と言えるのでしょうか。
 「尊厳死」法ができれば、「自己決定権」「自己選択」という名のもとに、実は経済的社会的制約の中で、個々人や家族の「自己責任」で社会から見捨てられ、置き去りにされ、生きる権利が奪われ死に追いやられるのではないでしょうか。オランダのように安楽死が合法化されれば、医師は致死薬を注射することに慣れ、国民は安楽死という選択肢が存在することに慣れる、そして慣れれば例外はルーティーンとなり、ますます進む高齢化で財政的な圧力がかかれば例外は必ずルールとなるのではないでしょうか。そんな恐れをこの本を通じて強く感じました。
 科学とテクノロジー、それに群がる資本、成果主義、利益至上主義によって人命が軽視される事態が世界各地で進んでいます。しかし、いのちが選別され、人間の尊厳が守られない社会をつくってはならない、そのために私たち医療従事者が、今何が進められようとしているのかをよく見て声を上げていかなければと思いました。

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生きる権利を奪い続ける「脳死」と「尊厳死法」に反対する〜「どうせ助からないのだから」の共鳴に抗して〜
日時:2月22日(土)
13時30分から(開場13時15分)
場所:エルおおさか7階709号室 参加費:500円
演題:「死の自己決定権のゆくえ」
演者:児玉真美さん 
他、「人工呼吸器をつけた子の親の会(バクバクの会)」大塚さんからら尊厳死法に反対する活動紹介もあり
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(組合ニュース第5223号より 2014年2月17日)

(2014年2月17日)

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