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シリーズ:医療・社会保障「崩壊」をどうするか
シリーズその1 
地方病院の破綻と行き場を失う地域患者たち
    
「病院が消えた〜取り残される医療難民〜」
     
  (NNNドキュメント07 2007 年10月22日放映)
 ある日いつものように病院に行くと病院は3週間後に閉鎖します≠ニいう張り紙が…。うそみたいだが本当の話で、予定通り病院は閉鎖された。
 閉鎖されたのは114床、3千人の外来患者を抱える姫川病院。富山県に隣接する5万人の町・新潟県糸魚川市は医療過疎地域で、病院は20年前市民の出資で建てられた。ずっと通うYさんは言う。「何でこういう事になったのか」と。
 医療制度改革が原因という。2002年から診療報酬の3度の引き下げで収入源。減り続ける医師(7年間で14人から6人になった)。医師が減ると収入も減。合理化に踏み込めず、財政補助でやってきたがついに自己破綻した。
 3年前から研修医の病院選択が自由になり、研修医が都市部へ集中するようになったのも要因だ。医師を姫川病院に派遣していた富山大学付属病院でさえ医師不足。医師は週二回の当直をし、過酷な労働を強いられていた。疲れた医師はやめていくという悪循環になっていた。
 病院閉鎖の当日、病院は紹介先の手続きを求める患者で混雑していた。Yさんは言う、「医療難民だわねー」と。
 姫川病院が建った4年後に近くに姫川団地ができた。病気を理由にそこに移ってきた夫婦がいる。ふるさとを引き換えに充実した医療を選択したのにこれからどうしたものかと戸惑っている。
 閉鎖一ヶ月後、紹介先の糸魚川総合病院へ移ったYさん。その病院はあまりの患者の多さから患者の受け入れを制限していた。患者はどこへ行けばいいのだろうか。Yさんは診察まで3時間半待った。
 閉鎖2ヶ月後、姫川病院の片隅でクリニックが開始された。一人の医師が戻ってきていた。受診に来たYさんに笑顔が戻っていた。
 最初に「うそみたい」と書いたが、医療制度改悪で、ここだけでなく全国各地の病院が苦しんでいる。地方はもとより大都市周辺部でも、病院は閉鎖の危機にさらされている。だれがいつ医療難民になってもおかしくない事態になっている。(た)
(組合ニュース第5060号 2007年12月10日発行より)
シリーズ:医療・社会保障「崩壊」をどうするか
 新自由主義構造改革の推進のもとで医療や介護、福祉制度の公的保障が縮小の一途をたどり、また「ワーキングプア」層の拡大によって、提供する側・受ける側両方からの医療・社会保障「崩壊」の危機が深まる一方です。それらの現実を取り上げたTVドキュメンタリーや本などを紹介し、その実態を伝え、警鐘を鳴らし、私たちがどうすべきか考えたいと思います。

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