阪南中央病院労働組合の見解・主張・要求 阪南中央病院労働組合


2002.5.13
阪南中央病院自立再建計画の開始にあたって
報 告 と 決 意 表 明

阪南中央病院労働組合  
執行委員長 玉木 佐江美


  この4月、阪南中央病院の自立再建計画が始まりました。阪南中央病院の新たな出発にあたり、私は、阪南中央病院を支持し期待を寄せてくださるすべての皆さん、病院存続のための署名運動にご尽力いただいた皆さんに、自立再建をめぐるこの間の動きを報告すると共に、改めて労働組合の所信と決意の一端を述べたいと思います。
 阪南中央病院の自立民営化計画(3年後の自立民営化に向けた32億円の府債権放棄と来年度約5億円の補助金が柱)は、府予算案の一部として2月府議会に提出されていましたが、去る3月22日、付帯決議付きながら可決承認されました(付帯決議は、銀行団との協議が成立するまで補助金等の執行を見合わせる、という内容となっています)。そして4月30日、病院は銀行3行に対し、56億円の銀行債務の免除を求めて特定調停法に基づく民事調停の申請を大阪簡易裁判所に行いました。銀行側は債権放棄に難色を示していると報じられており、決して予断を許さず、今後さらなる紆余曲折も予想されますが、ひとまず病院存続と自立再建に向かっての第一歩を踏み出すことが出来たのではないかと考えています。
 このことはひとえに、患者・地域住民の皆さんの厚い支持、そして署名運動にご協力くださったすべての皆さんの力強い支えがあったからこそだと職員一同、大変感謝しております。
 大阪府の2月定例議会は、阪南中央病院問題が最大の問題の一つとなり、激しく緊迫した議論が行われました。その中で一部政党からは、看護婦が多いことなどを理由に「放漫経営」といった批判がなされました。しかし私は、このような批判は全く不当で理不尽なものだということを再度強調しておきたいと思います。長年にわたる差別の結果として、医療においても低位にあった同和地域で住民のための医療を進めるためには、手厚い看護体制と自治体病院水準の賃金労働条件は必要不可欠でした。阪南中央病院の累積赤字は、大阪府が必要な財政補助をこれまで怠ってきたからであり、大阪府と共同出資者という責任ある立場にある松原市が財政補助を行ってこなかったことが最大の原因です。病院職員や理事者の誰かが私腹を肥やしているというわけでもなく、「放漫」といわれる理由などどこにもありません。
 しかしより本質的には、良心的で差別のない医療、社会的弱者のための医療を積極的に行えば行うほど赤字が増える医療構造、職員の人件費を十分にまかなうことの出来ない診療報酬体系など、今日の医療制度と政府・厚生労働省の医療政策こそが問題です。小泉内閣が現在進めている老人医療の切り捨てや医療費自己負担の大幅増、市場原理に基づく営利主義医療などは弱者切り捨て医療そのものであり、阪南中央病院の存立基盤を真っ向から対立するものです。この点について私たち労働組合は、医療現場が抱える諸矛盾や現場の実態などを社会的に明らかにし、医療政策を根底から批判すると共に、医療改悪を阻止し、医療制度・政策を本当の意味で患者と国民のためのものに変えていく闘いに、積極的本格的に取り組んでゆこうと決意しています。
 阪南中央病院の自立再建の闘いはまだ始まったばかりです。これからが本当の闘いだと肝に銘じています。私たち職員は、人員削減や大幅な賃金カットなど大きな痛みを受けることになりましたが、差別のない患者中心の医療、社会的弱者のための医療を貫き、確固とした地域医療の砦を築き上げることこそが、私たちの使命であり責任だと自覚しています。そして、それこそが政府・厚労省の医療営利化と医療切り捨て、小泉内閣の弱者切り捨て政策に対する最大の武器であると確信しています。私たちは、患者・地域住民の皆さんをはじめ、全国各地の人々に力と勇気を頂きながら進んでゆきたいと思います。今後とも、阪南中央病院と私たち労働組合の取り組みにご理解、ご協力を賜りますよう、またご指導、ご助言を頂きますようお願い致します。

(2002年5月13日)



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