阪南中央病院労働組合の要求/見解/主張


2007年、医療危機に立ち向かう年に
安倍政権の医療切り捨て、憲法改悪、
労労働法制改悪と闘おう!
執行委員長 玉木佐江美   

 2007年の年明けにあたり、ひとこと私の抱負と決意を述べたいと思います。
 私たち自身が日々の労働の中で強く感じているように、医師不足や看護師不足に現れた日本の「医療崩壊」「医療危機」は本当に深刻な状況になってきています。これに対して私たち医療労働者はどうすべきか、労働組合は何ができるか、そして阪南中央病院が培ってきた患者にやさしい医療、社会的弱者への暖かなまなざしをいかに貫いていくことができるか  なかなか展望が見えない中で、あれこれ悩み考えさせられた年明けでした。
 今年は亥年ですが、私はあえて「猪突猛進」ではなく、自分たちの足元をしっかり見据え、よく考えながら、着実に成果を積み重ねられるよう、一歩一歩前進する年にしたいと決意を新たにしています。そして困難な現状から逃げ出すことなく、やりがいを持って働き続けられる条件をいかに勝ち取っていくか、労働組合の立場にこだわりながら自分なりに解答を出してゆきたいと考えています。
 政府・厚労省が進める「医療制度構造改革」は、医療の現場に多くのひずみをもたらしています。医療費の徹底した抑制、自由競争を加速させる市場原理導入によって、すべての医療機関は経営第一を余儀なくされ、生き残り競争を強いられています。大幅な病床削減と病院淘汰をねらう厚労省の方針と診療報酬引き下げによって、閉鎖や倒産に追い込まれる医療機関がじわじわ拡大してきたいます。とくに急性期病院では、どの職種の医療労働者も過酷な労働を押しつけられ、働きがいを持てないばかりか、働き続けることが困難な過酷な状況に追いやられています。医師不足、看護師不足がさらにこの状況を悪化させ、医療現場からの「立ち去り」をさらに助長するという悪循環です。現場の医療労働者は少ない人員の中、患者のために医療の安全と質を維持するため、長時間労働と多くの夜勤をこなすなど身を削って頑張っている危機的な現状があります。私たちの病院も、少なからず同じような状況ではないでしょうか。
 医療を受ける側も深刻な状況です。貧困化と社会的格差が進む中で、患者負担とくに高齢者の自己負担の急増、長期入院の制限やリハビリ制限などで、いつでも誰でも一定の医療を受けられる状況が急速に崩れてきています。病気になっても受診しない、できない、お金がなくて医療を受けられない、病院を追い出される、といった「医療崩壊」が今後さらに深刻化せざるを得ない状況です。このような中、医療機関の労働組合の役割はますます大きくなってきています。私たち自身、労働組合として何ができるのか、何をしなければならないか、真剣に問い直し、考えていかなければなりません。そしてこの1年は、医療労働者の立場から、また患者・市民の立場から「医療崩壊」に積極的に立ち向かっていく年にしたいと思います。
 もう一つ、労働組合に問われているのが、安倍政権の憲法改悪と相次ぐ労働者攻撃にどう立ち向かうのかです。昨年末、安倍政権が多くの人々の反対の声を無視して、教育基本法改悪を強行しました。そして次の段階として安倍政権が押し進めようとしているのが憲法改悪です。安倍首相は年頭のあいさつで、憲法改悪を任期中に行うことを表明し、憲法改悪の前提になる「国民投票法」を通常国会で成立させる意図をあからさまに語りました。憲法9条を改悪して、「戦争できる国」にしようというのが最大の狙いですが、それだけではありません。現憲法の根本原理である平和主義と国民主権、基本的人権の原則を根底からひっくり返し、「国を縛る規範」から「国民を縛る規範」に180度変えようというのです。憲法改悪は、私たちの基本的人権を侵害し、国家と大企業のために尽くす国民をつくることが狙いだと言っても過言ではありません。私たちは、憲法改悪とそのための国民投票法案の問題にもっと関心を持って、反対の声を強め法案成立阻止の闘いを作っていきたいと考えています。
 さらに、私たちに直接関わってくる危険な動きがあります。労働時間規制を取っ払い、経営者は残業代を払うことなく好き勝手に労働者を働かせることができる「ホワイトカラー・エグゼンプション」(=残業代ゼロ制度)、労働組合の団体交渉権に対する制限、派遣労働者の規制緩和などの、労働法制の全面的改悪です。厚生労働省はあくまで通常国会で法案提出する方針です私たちは、この危険な法改悪の内容についてしっかり議論し、反対を声をあげていきたいと考えています。
 しかし、日本の労働組合と労働組合運動は依然として厳しい状況に置かれたままです。組合の組織率は年々低下し、今では約18%、労働者の利害を首尾一貫して代表する政党もなく、多くの労働者が結集して闘うといった状況はまだ見えません。それでも、現場から労働者が声を上げ、労働組合がその存在を示し続けることが重要だと思います。昨年の教育基本法改悪に対して、国会周辺では市民団体の呼びかけで連日のように多くの労働者・市民が集まり反対の声を上げ続けました。日々の粘り強い活動こそが、困難な現状を打ち破り、安倍政権を追い込む力につながるのだと思います。私は、どんなに小さくても声を上げ続ける部分があれば、必ずそれは広がり、多くの人々が立ち上がることにつながると確信しています。
 私たちは、労働組合に結集し、自らの生活を守り働き続けられるための条件を勝ち取るために、粘り強く闘ってゆきたいと思います。そしてこれまで以上に政治情勢にも関心を持ち、安倍政権の医療切り捨て、憲法改悪、生活破壊に反対する闘いを強めていきたいと考えています。今年も共に団結を強めがんばろう!

組合ニュース第5038号(2007.1.15発行)より




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