阪南中央病院労働組合の要求/見解/主張




玉木委員長の2003年年頭あいさつ
  
患者さんの立場に立った病院、
職員が安心して働き続けられる病院をめざして!
 
 2003年は、アメリカがイラクに戦争を仕掛けようと動き、日本も含めて世界がその戦争の方向に進み始めるという、全く異常な、きな臭く重苦しい中で幕を開けました。この戦争が始まれば、ケタ違いの軍事力を持つアメリカが、非道にも、何の罪もない無数の市民、子どもたちの命を虫けらのように奪い、土地と街を破壊し尽くす恐ろしい光景が生み出されます。皆さんは、こんな野蛮な大国のやり方を許せますか。この戦争を支持し、それに積極的に関わろうとする小泉政権を放っておいてよいのでしょうか。私は、遠い国のことだから、私には直接関係ない、といって無関心でいることはできません。私たちが日々接している多くの命と同じように、何千、何万という命が奪われようとしていることを黙って見ているわけにはいきません。1月末とも2月とも言われる米英のイラク戦争に対して、一人でも多くの皆さんが真実を知り、批判し、戦争反対の闘いに立ち上がるよう切に訴えたいと思います。

 阪南中央病院にとって昨年は、大きな変革の年で、嵐のように過ぎ去りました。大阪府の財政補助が打ち切られ、病院の存続そのもののが脅かされる事態となりましたが、11月には特定調停がまとまり、何とか自立再建の道を進み始めることが出来ました。今年は、全職員一丸となった力で自立再建の土台をより確かなものとして打ち固めていくことが求められています。
 阪南中央病院が自立経営の道を歩むという、つい一昨年までは誰も考えたことさえなかった新たな歴史が始まっています。自立再建のためには、その土台として何よりも経営基盤の安定が不可欠であることは言うまでもありません。しかし、自立再建の土台という意味では、二つのことを決して忘れてはならないと思います。第一は、患者さんの立場に立った医療・看護を実践できる条件が確保できること。第二は、私たちが意欲と確信を持って、安心して楽しく働き続けられるための職場と賃金労働条件が確保できること。この二つは不可分に結びついていますが、このことを軽視しては決して自立再建は成し遂げられないと思います。ここに私たち労働組合が果たすべき大きな役割があるのではないでしょうか。

 自立再建のため昨年4月から、組合員はしんどい中で本当によく頑張ってきました。病棟では短期入院が増え、空床があればいつでも何人でも制限なく入院を受け入れる、患者さんの重症、重度化等々で本当に大変な状況です。いつ何時医療事故やミスが起らないかと不安な中で頑張って働いています。病院経営を成り立たせながら、どうやって患者さんの立場に立った医療・看護を実践するか、どのように私たちの雇用と賃金労働条件を守り抜くか。今年2003年は、このことを正面から問いかけ、議論し、労働組合として進むべき具体的な道を見いだしてゆきたいと考えています。良心的な民間病院にも学びながら、従来の枠にとらわれることなく、頭も柔軟にして、お互いが協力しあいながら、抜本的な業務改善・軽減や新たな賃金体系、人員配置等々について積極的に取り組んでいきましょう。

 経営を成り立たせることと、職員の雇用と生活を守ること、医療・看護の質を高めていくことは、現実問題としては非常な困難を伴います。私は、本来あるべき医療・看護の姿は、経営のことを第一に考えるのでなく、もっぱら患者さんの立場で最善のものを提供することだと確信しています。自立経営からは逃れられないけれど、採算性を無視できない現状に対しては矛盾を感じるだけでなく、激しい憤りさえ覚えます。自立再建の道を進む中でも、私はこの憤りや悔しさを持ち続けることが絶対に必要だと思います。

 国公立病院でも独立採算、統廃合、民営化で矛盾が大きくなっています。このままでは、医療そのものの荒廃、看護婦をはじめとする医療労働者の過酷さはますます悪化します。このような状態を少しでも改善するためには、政府・厚生労働省を突き動かしていくしかありません。私は、医療労働者のしんどい状況を生みだしている大本、国の医療政策そのものを変えさせるような、対政府の新しい闘いに踏み出す決意を固めています。労働組合は、現状に流されるのでなく、批判し抵抗し、現実を変革する精神を育て鍛えていくことに力を入れなければならないと思います。

 隣の国の韓国では、軍事演習に向かう米軍装甲車による二人の女子中学生れき殺と米軍事法廷での無罪評決に対して、若者を中心に年齢・世代を問わず何万、何十万という人々が反米・反米軍で立ち上がっています。最初は、わずか10人、20人の集会から始まったと言います。それがわずか半年の間に、100万もの民衆を動かす大闘争へと発展したことに私は本当に感動しました。
 私たちの力はあまりに微力、道は困難をきわめますが、決してあきらめず、事柄に真剣に取り組み、前向きに進んでいきましょう。     (2003年1月8日)




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