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第5号 発行 連絡先 Tel/Fax |
2002年4月14日 臨界事故被害者の会 〒319−1111 那珂郡東海村舟石川847−19 大泉工業(株)内 029−282−7117 |
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「JCOは自分たちがどんな事故を起こしたのか忘れたのか、被害を受けた者について真剣に考えているのか、JCOが歩み寄りを見せたので穏便にやってきたが、誠意がないもはなはだしい」と、4月8目、初めて文書によるJCOの回答を受け取った大泉代表世話人は、全身で怒りをあらわにした。回答書の内容は |
・検査費、交通費は、1回目のものしか認めない。 ・基本的に営業損菩や休業被害は、当初の2日分しか認めない。 ・土地財産等の価値低下については、変化するものであるから認めない。 |
というものであった。 2000年3月に申し入れをして以来、「被害者の会」は2年以上にわたって、JCOと粘り強く交渉をしてきた。当初からゼロ回答を繰り返してきたJCO側も、昨年秋には歩み寄りの態度を見せ、阪南中央病院の被曝線量調査報告書を検討する過程で、「みなさんの気持ちは分かります」と述べるようになった。11月に「取り合えず医療補償以外については柔軟に対応する」として、事務レベルの交渉となった。医療補償については、この問題が解決した後に、改めて交渉する予定であった。 以降「被害者の会」は、営業損害や休業被害を証明する証書、領収書類を、JCO側に提示した。とくに検査費用やそれに伴う交通費は、JCO側が過去に複数回補償しているケースもあり、「医療費は改めて交渉するにしても、事故後、体の調子悪く、検査は何回も必要だった。その費用は払って欲しい」という被害者の切実な願いがあった。JCO側は、休業・営業損害を算定するために必要として、過去3年分の確定申告書や源泉徴収書を求めてきた。それらを提示するとさらに、新たな領収書などの提示を求めるなどしてきて、今年3月、ようやく回答となった。 |
JCOの誠意は見せ掛けだけだ! |
今回の回答のどこが「柔軟な対応、誠意ある対応」なのか。事故後2年半分の検査費交通費の領収書や過去3年分の確定申告書、源泉徴収書は何のために必要だったのか。一所懸命にそれを集めた「被害者の会」の努力は何だったのか。私たちの見通しが甘かったのだろうか、それにしてもJCOの誠意とはウソだらけだった。当時の科学技術庁がJCOに与えたお墨付きである「原子力損害調査研究報告書」から一歩も踏み出さなかった。「被害者の会」の努力や甘さに冷水をあびせるような内容だった。 代表世話人の大泉昭一氏は、原因不明の内臓疾患と皮膚病で入院中にもかかわらず、無理を押して交渉の場に出席してきた。誠意のない回答書を読んで上述のように、憤懣やるかたない表情で、「私たちの苦しみ不安をJCOはこんな形でしか示せないのか」と語った。 |
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◆「被害者の会」茨城県に質問書提出 |
「臨界事故被害者の会」は茨城県に対し、『JCO臨界事故に関して茨城県が行っている健康診断についての質問書』を提出し、話し合いを求めてきた。その話し合いの揚が、3月28日、実現した。 |
◆「健康診断のお知らせ」を巡って |
質問書に対する回答を口頭で一通り受けた後、話し合いに入った。冒頭、県が受診対象者に送った「健康診断のお知らせ」の前文『さきの臨界事故に関し、放射線の影響が発生する線量レベルにはなく、ガン発生の影響を検出することはできない。従って放射線の影響を確認する特別の健康診断はしない、ただ健康不安を解消するための気休めとして、普通の住民健診、学校健診と概ね同じ内容で実施する』という趣旨の文章を示して、大泉代表世話人が「これでは健康診断を受ける必要はない」と案内しているようなものだと、激しく詰め寄った。 これに対して県は、「放射線の影響を検出でさない」とする根拠は、国の健康管理委員会(既に解散)の報告書だ、と繰り返した。これについて、(1)事故当日に県が実施した空間ガンマ線移動サーベイの測定結果について、どのような検討がなされたのか。(2)昨年3月に冊子として公表された研究書の京大・佐々木正夫教授グループの「JCO臨界事故による低線量放射線被曝者における生物学的線量評価」という論文の、中性子線の危険度に関する指摘をどう評価しているのか、と資料を示して追及したところ、県の担当者は答えられず、県の健康管理検討委員会を通して、国に見解を求め回答することを約束した。 |
◆情報の公表を要請 |
過去3回の問診結果(事故をめぐる身体異変)については何も公表されておらず、症状ごとの件数・割合などについて公表せよの質問に、問診はしていないという回答が返ってさた。もっとも大事な問診をしていないということは、「健康相談・健康診断」の価値が疑われる。ただ、小・中学生対象には健康異変の問診をしたという。その結果については回答することとなった。 話し合いのなかで「被害者の会」は、住民の健康について責任を待っている県は、国の判断と決定に盲従するのでなく、県独自の調査や対応があってしかるべきだと、繰り返し主張した。その結果、次回までに県が回答する課題として、上記の他に、(1)事故直後に実魅された1838人の健康調査の考察の結果について、(2)「心のケア」を必要とすると判断された事例について、実際の対処による検討の結果、PTSDとの診断が出たのではないか、(3)「心のケア」を必要とする症状とPTSDとの区別の根拠は何か、(4)「健康診断のお知らせ」の前文を書き換えることはできないか、(5)JCOとの健康問題補償交渉に県として何らかのバックアップはできないか、について確認した。 |
◆さらなる話し合いを |
以上、今回の話し合いで県が「被害者の会」に回答すると約束した項目内容である。次回の日程については「できるだけ早く」ということにとどまってしまった。健康診断も今年で、3回目を迎えるなかで、被害者の思いや要望に対して、心と血の通った対応を、今後とも県に要請し話し合いを続けていくこととなった。 |
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合意率99.8%に JCO補償(02−4−5) |
東海村臨界事故で被害を受けた住民や事業所等に対する補償問題で、臨界事故を起こしたJCOは4日、3月31日現在の合意状況を発表した。合意件数は6965件で3ヶ月間動きがないものの、取り下げ等による除外可能件数が約5件増加したため、合意率は前月に比べ、0.2ポイント上昇し99.8%になった。申し出で総数8020件のうち、除外可能件数の1035件を除いた補償対象は約6985件で、残りは約20件。合意金額は約147億1000万円。 除外可能件数? JCOが対応できないので、一方的に除外してるだけなんじゃないか。 |
私たち「被害者の会」は、今後もJCOと交渉を続け、事故の責任を追及していくとともに、周辺の皆さんからのご意見をお聞かせいただきたいと願っています。どうかどんどんとご意見やご連絡をお願いします。 |
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