支援する会会報<第3号> 2000年7月12日 | |||||
----------------------------------------------------------------------------------- 特集 7/1〜2被曝健康現地調査報告 バッチリ決まった予備調査!さあ、これからが本番!! 7月1日と2日、まだ寒さの残る初春から準備を進めてきた「被曝線量・健康実態調査」の第一歩を踏み出すことが出来ました。調査隊は、阪大病院の看護婦さんなど院外のスタッフも含めて総勢15名。2日間で「被害者の会」会員さんとそのお子さんを中心に70名の調査を成し遂げることが出来ました。その内、事故前と事故後で体の具合が悪いと感じている人は21名、何らかの急性的な症状を訴えている人は31名、現在症状を訴えている人は42名おられました。特に症状が目立つのは、JCOに隣接する事業所の従業員の皆さんや臨界の時間帯に周辺家屋に物品配達をしていたなど長時間、事態を知らされずに至近距離にいた方々。 現在70名の被曝線量と健康実態を、集計しているところです。今月中に集計作業を終え、現地に報告・総括を行った上で、周辺住民に対する本調査を具体化する予定です。今後の現地調査が具体化し次第、皆さんに呼びかけますのでご協力をお願いします。
----------------------------------------------------------------------------------- 支援する会代表就任にあたって 青木 茂 とりあえず年齢をとっているということで、「支援する会」の代表をつとめることになりました。たよりない代表ですがよろしくお願いいたします。 まずは「被害者の会」の方々との信頼関係を強めながら長期にわたる運動を進めていこうと覚悟を決めつつあります。 その第1歩として7月1日、2日臨界事故被爆健康調査のため、15名で東海村を訪問しました。現地に行くことは率直に言えばいつも気が重いものです。医療従事者としては被曝という事実に有効に対応するすべを何らもっていないからです。しかし、大泉代表を始めとして「被害者の会」の方々は、我々を非常に気持ちよく迎え入れてくださいました。 その上2日間の調査活動に付きっきりで援助していただいたばかりか、食事、宿泊など多くの御負担を負って頂き、誠に恐縮の限りでした。貴重な休日をさいて調査活動に当たった方々に感謝すると共に、現地でお世話を頂いた方々に厚くお礼を申し述べます。調査結果については、出来るだけ早く集計してあらためて報告いたします。 さて科学技術庁の方は、線量評価を値切った上で、「健康に対する悪影響はない、従って健診の必要はない」という強い姿勢をとり続けていましたが、「被害者の会」の結成など現地の活動におされた形で5月に健診を行いました。そして茨城県の責任で当分の間、年1回の住民健診を行う方針を出さざるを得なくなりました。その健診の報告会は6月中旬に行う予定になっていましたが、意識してかどうか、我々の調査活動の日程にぶつけて行われたのです。我々の活動も無視できなくなったのでしょうか?住民健診の結果について、「健康に悪影響を及ぼす線量の被曝は認められないので、異常があれば医療機関の受診をするように」というだけの誠意のないものでした。もう一つの被害者であるJCO職員に対する被曝の影響をきちんと調査しようという姿勢は全く認められません。JCO職員の健康管理については全く秘密にされており、3名の急性放射性障害のほかは、異常は認められないという報告しか行われていません。住民健診を公的に保障させていくよう要求すると共に、結果を住民の役に立つ形で還元し、公開させる必要があります。 今回は調査とあわせて中田先生による小児科の健康相談を行いました。小学生、幼稚園児の被曝については母親の真剣な姿勢が印象的でした。 線量結果については我々の側で行った具体的な評価を科技庁にぶつけて、再評価を迫る活動へとつなげていく必要があります。また今回の具体例一つ一つを掘り起こして記録にとどめ、そこに必要な援助活動を続けていくことは、現在のように原発が推進される限り今後大量に生み出されてくるであろう被曝者の救援の一助になると確信しています。我々の活動が、ヨーロッパ諸国に広がりつつある「脱原発」の流れにつながっていくものと確信して結びとします。 ----------------------------------------------------------------------------------- 参加者の声 〜「東海村現地調査に参加して」 看護婦 現地の白い建物JCO。「ええっ、こんな近くに会社や民家があるのに、科技庁な皆さん"大丈夫"はないでしょう」とまず怒りが…。調査で住民の皆さんから生の声を聞き、国(科技庁)の対応に対する怒りが…。 安全が守れず、臨界事故を起こした責任を、継続した健診・医療保障という形で表してほしい。東海村の皆さんの不安やストレスを軽減できるよう微力ながら実現に向けて今後も協出来ればと思います。「被害者の会」の皆様の心温まるおもてなしに阪南中央病院に対する期待の大きさを感じました。 阪大病院看護婦 一番驚いたのは、やはり、行く前に予想していたよりも、ずっと大きく健康上の被害が現れているという現実だった。特にJCOのすぐ近くで仕事をしていた方の諸症状は、明らかにこの事故で起こったものであることが、看護婦の私でも判断がつくほどものである。それでもどの病院に行っても「原因不明」とされ、行政が行った検診でも尿蛋白を指摘しただけの結果となっている。一体どういうことなんだ!と、叫びたい気分になった。 今ほとんど健康上の問題を訴えていない人でも、白血球数が減少している人が多いことや、将来への不安感を募らせていたり、子供たちの影響について心配している人が多かったことなど、大阪に帰ってからも私の頭から離れない。 そしてこんなにもひどい事故を起こしておきながら、国も科技庁も県も、何もなかったことにしようと必死になっている。どの医師も、放射線による被害であることを言おうとしない。こんな中で、被害を受けられた方たちが、私たちの活動に対して大きな期待を持ってくださっていることを、ひしひしと感じた2日間だった。 ----------------------------------------------------------------------------------- 多くのカンパをありがとうございました。 支援する会に多額のカンパを下さった皆さん、本当にありがとうございました。現地調査派遣のために使わせて頂きます。今後とも物心両面でのご支援よろしくお願いいたします。 ----------------------------------------------------------------------------------- 例会案内7月26日(金) 17:45〜 東館2階講義室にて今回のテーマは被曝健康現地調査の結果報告です。 スタッフはもちろん、どなたでもご参加下さい。 臨界事故がもたらした具体的事実を見つめていきましょう! ----------------------------------------------------------------------------------- インフォメーション 口座がようやく開設されました 三和銀行 松原支店 口座番号 5300206 名義人 阪南中央病院東海事故被害者を支援する会 事務局長 西野 淳 ----------------------------------------------------------------------------------- 編集後記 その1−「被害者の会」会報第2号が私たちの調査にあわせて発行されました。必要な方は「支援する会」西野まで。 その2−今回の調査、予備調査といっても「原子力の街」東海村での「被曝・健康調査」。 何もかも手探り、初めて、本当にうまくいくのだろうか?「全然調査に来てくれなかったらどうしよう?」。いや「予想を超える反響で調査員が足らず、みんな待ちくたびれてかえってしまったらどうしよう?」。幸いなことに心配は取り越し苦労ですんだ。蓋をあけてみると絵に描いたようなスムーズさで調査を終え、2日14時を迎えることが出来た。 スタッフはみんな一つのことをやり終え,満足げ、幸せそうであった。 この時、2時間後に私たちを襲う最悪の事態を誰が予想したであろう!!!そう水戸駅で大雨が降りみんな滑り込みセーフで列車に乗り込み安心したのもつかの間、落雷で信号機が壊れストップ。ようやく発車したかと思うと極めつけは、大雨で川が増水し立ち往生。 結局、新大阪に帰りついたのは予定の3時間遅れ。何もかも初めてづくしの貴重な旅であった。 ----------------------------------------------------------------------------------- |
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