支援する会会報<第2号> 2000年6月12日 |
----------------------------------------------------------------------------------- 住民の健康管理とは無縁、被曝隠しのための行政による健康診断 現地では行政による健康相談と健康診断が始まっています。しかし、「事故による健康被害はいっさい出ない」を前提とした健診で、住民の不安を真剣に受け止めたものではありません。「必要はないが住民がうるさく言うから形だけでもやってやろう」というものにすぎません。実際に会場では科技庁の役人や放医研の医師らから、信じられないような言葉が健診を受けた住民に投げつけられています。 ▼今回の相談は不安な人のために気休めにするものなのにどうしてこんなに集まるのか(科技庁役人) ▼(隣町の)那珂町の本米崎小からなぜ東海村の会場に来たのか(科技庁役人、会場の受付でも) ▼子供は連れてこなくてもよかったのに(会場受付で) ▼99.8%絶対ガンにはならないから今回は見送って来年にしたら(科技庁役人) ▼本当は関係ない、なぜそんなに検査をしたいのか。血液検査はしなくてもいい(科技庁役人) ▼子供の血を採るのは体によくないからやめたらどうか(放医研の医師) ------------------------------------------------------------------------------------ 健診結果を好き勝手に利用することを強要する国・行政 さらに、茨城県はこの健診を受けるにあたって、健診の結果を行政が好き勝手に利用することをあらかじめ同意させる「同意書」を住民に押し付けています。何を目的としているのか、何の説明もありません。あたかも受診の条件であるかのように住民にサインを求めています。言われなき被曝を強要された住民の検診で、その結果を好き勝手使わせろなど言語道断、まさに行政や科学者のごうまんに他なりません。広島・長崎の被曝者にいっさい治療を行なわず、研究材料としてのみ扱ったABCC(原爆障害調査委員会)の調査のやり方と同じです。 ------------------------------------------------------------------------------------ 「絶対ガンにならない」は間違い──交渉で科技庁認める 病院でも取り組んだ脱原発署名の最終集約を受けて、5月26日、東海臨界事故の放射線被曝問題をめぐって科技庁との交渉が行われました。JCOが地元の説明会で「絶対ガンにならない」と悪質きわまりないデマ宣伝を行っていることについて追及しました。科技庁はこの事実関係さえ把握していませんでしたが、追及に対して「絶対ガンにならない」という見解はとっていないと明言しました。現地で行われている悪質な宣伝については、事実なら厳重注意することを確約しました。 ------------------------------------------------------------------------------------ 健康被害への賠償責任を全面的に否定する国−JCO 一方JCOは、その後「被害者の会」が行った交渉の中で、国立ガンセンターの田ノ岡医師が説明会で数々の暴言を吐き、「絶対ガンにならない」と発言していたことを「記憶にない」と否定、「メモや証言は証拠にならない」と開き直っています。「100%因果関係が証明されない限り健康被害の賠償はしない」と平然と言ってのけるなど、事故を起こした当事者とは到底考えられないごうまんな態度です。被害者の人たちの怒りはどれほどでしょうか。想像するに余りあります。 JCOがこれほどごう慢な対応を取れるのは、事故による健康被害を闇に葬り、賠償責任を全面的に否定する国の後ろ盾があるから。科技庁がまとめた「原子力損害調査研究報告書」は、「身体の障害」については、「請求者(=被害者)の側から、本件事故により放出された放射線または放射性核種による放射線障害であることが立証された場合に限り、その損害の賠償が認められる」としています。多くの住民・労働者が放射線をあびたのはまぎれもない事実であり、その被害を賠償するのは国の当然の義務です。もし事故のせいでないというのなら国が具体的事実に基づいてそれを立証すべきものであり、被害者に対して因果関係を立証せよというのは本末転倒、許しがたい責任逃れです。 ***** 事故による健康被害を認めさせ、徹底した健康管理、医療の制度的保証を実現させるためには、被曝線量と健康被害の実態調査によって具体的な事実を明らかにし、国に突きつけることがなによりも重要です。ぜひ調査活動へのご協力をお願いします。 ------------------------------------------------------------------------------------ |
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