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私たちの訴えと取組み

キューバを知る会通信第二号より

 「キューバを知る会」は、今とても注目されているキューバを知りたい!資本主義的大量消費でない「持続可能な社会」に挑戦し、医療福祉教育が手厚い社会主義国キューバの本当の姿を知り、みんなに伝えたいという人たちが呼びかけてできた会です。
キューバの高齢者の医療・福祉の紹介
           
 キューバは長寿大国! 先進国なみの高齢化社会に入った

 キューバの平均寿命は開発途上国ではずば抜けており、77.5歳(2006年)と先進国並みです。ちなみに他のラテンアメリカのグアテマラ57歳、メキシコ47歳、アルゼンチン36歳、チリ32歳です。100歳以上の長寿者も2,800人以上(女性が7割、全人口は1,126万人)もいます。ほとんど健康に暮らしています。これは人口比率からいえばほぼ日本と同じです。60歳以上の高齢者は163万人で、全人口の15%以上を占め(2005年)、2025年には4人に1人が60歳以上になると予想されています。良く言えば長寿大国、悪く言えば先進国なみの高齢化社会が急速に進んでいます。GDPではかなり貧しいキューバで、なぜ、こんなに長生きできるのでしょうか?

長生きの秘訣? それは国の医療・福祉政策にある

 高齢化社会と言っても、日本とは全然違います。悲観することはありません。キューバは、徹底的に高齢者にやさしい社会です。第一に国の予算配分が違います。他のラテンアメリカ諸国に比べ4倍も医療・社会保障につぎ込んでいます。1990年と1997年比では、医療費は134%アップ、社会保障費は140%もアップしました。それを補うために、軍事費は55%へと半分近くも削減しました。また2004年から2005年にかけて、年金は7%アップ、社会保障費は5.7%アップし、2007年には、無料の教育と医療の予算はGDPの22.6%相当になっています。教育・医療で国家予算の16%を占めています。この積極的な国の医療・福祉政策こそが長寿社会の源です。 

ユニークな「老人サークル」、地域の中で有意義な活動

 地域の中には、50~60人で構成され、毎朝の体操で体を動かし、博物館や映画館へ行ったり、誕生パーティー、読書会、刺繍、ハイキング、ダンスなど、様々をグループで行う「老人サークル」が作られています。若者や子どもたちとの文化交流も活発です。1984年から始まり、すでに全国で778,000人が加入しています。ここでは「孤独死」などありえません。コロンビアの厚生大臣が訪問したとき、このサークルを「革命の中の革命だ」と評価したそうです。

「高齢者大学」、芸術・文化・教養など充実した老後

 高齢者対策は「老人サークル」だけでなく、2001年からは「高齢者大学」も開校されました。全国で約700コースが設けられ、3万人以上の高齢者が大学に無料で参加しています。2005~06年には1万3千人が新規入学しています。高齢者には豊富な経験と知識があり、それを科学技術や芸術、文化、思想の発展に生かしてもらおう、等々の壮大な目標が掲げられています。

高齢者を守るソーシャル・ワーカーの緊急養成

 2000年から16~22歳の若者を対象に、ソーシャル・ワーカー専門の短期大学が開校されました。その卒業生たち28,000が、現在ソーシャル・ワーカーとして活躍しています。将来的には、住民300人に一人のソーシャル・ワーカーを育成することが計画されています。中心的な活動は、一人暮らしの老人など、社会的に弱い立場の人々と積極的に交わり、親身になってその悩みの解決を助けることにあります。

社会の中で生きがいを持って暮らすこと

 高齢者は、社会の中でいきいきと暮らすことこそが基本です。キューバには老人ホームが全国で143施設あり、6,000人以上が暮らしていますが、この数は以外と少なく、多くの老人は地域の中で「ホーム・サービス」を受けて暮らしています。だから1人暮らしの高齢者は96万人もいます。しかし、日本と違って、多くの仲間とともに、野菜が多いバランスの取れた健康な食事、適度な運動、楽しい文化活動、禁煙、適度な酒、など生きがいを持って生活しており、これが長生きの秘訣なのです。これが結果として、ほとんど予算をかけずに社会保障を充実させている秘密です。医療費の抑制にもつながっているのです。

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以上、「第二回キューバを知ろうの集い」で報告した内容をもとに、参加できなかった人にも分かりやすいように加筆しました。ネタ本は『世界がキューバの医療を手本にするわけ』(著者:吉田太郎)です。
               (2008・10・10)
                     
 
参加者の感想

・日本との大きな違いで、高齢者がとても住みやすい国であり子供を安心して育てられる国という事がとてもよく分かりました。

・軍事費をあんなに削っても、逆に軍事力が低い事で、武力行使の意思がないアピールとなり、攻撃される大義名分がないので、今は大丈夫なのではないかと思いました。それだけでなく、国際主義的な人道援助として、医療を世界に無償で治療や予防までされるキューバは、人道的な医療力という新しい脅威(!?)が、資本主義社会を圧倒させているとも思いました。軍事に変わる人道的医療の温かい世界をこのまま広げていって、日本も世界も感化されたいと思いました。


(キューバを知る会通信第2号  2008.11.5.より)

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