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部落差別に直面し、悩み苦しみながら歩む二人
『太郎が恋をする頃までには…』(2008年10月発行 幻冬社 1500円+税)

 フジテレビのプロデューサー・栗原美和子さんの実話に基づく小説です。「衝撃の長編恋愛小説」というその内容は、部落出身の男性(猿回し師の村崎太郎さん)との出会いから結婚にいたる過程で、彼が直面してきた差別体験や辛い思い、そして結婚にあたっての親や親戚からの強い反対等、部落差別の現実に二人で悩み、苦しみながら歩んで行こうとする姿が赤裸々につづられています。読みながら、二人をここまで悩み苦しめる部落差別に怒りややるせなさを覚え、やはり部落差別って根深いんだなと認識を新たにさせられました。
 太郎さん(小説の中ではハジメ)が心を開き、自分の差別体験を告白するところ、著者(作中では今日子)が両親にハジメが部落出身者であることを告げ、母親が結婚に強く反対する場面は息を飲む思いで読みました。ハジメの優しさ、そしてハジメのつらさを共有して生きていこうという今日子の情熱の強さが、痛いほどの感動の余韻となって残ります。(川)
(2008年12月5日)

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