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阪南中央病院労働組合の要求/見解/主張



大阪の教育現場における深刻な実態
―教育基本条例によって教員の協働性が失われるとどうなる?
  橋下大阪市長が率いる大阪維新の会が大阪府と大阪市と堺市に「教育基本条例」案を出してきています。彼らは教育現場をどう変えようとしているのでしょうか?大阪の教育現場はどうなっているのでしょうか?特に橋下氏が大阪府知事になってから大阪の教育現場で今何が起こっているのか、実情を良く知ることが大事だと思います。現場のある大阪府立高校教員お話を聞く機会がありましたので、リポートします。

生徒への対応で

 ある生徒が登校してすぐにワッと泣き出した場合、前は一人の教員がその子に付き、他の教員もフォローするためにその生徒の教室に入ったりして、教員集団でみんなで助け合ってきた。そんな暗黙の了解があった。しかし今はその余裕がなくなっている。フォローすれば自分の仕事ができなくなるからだ。その対応をする教員を周りが助ける余裕が無くなっているのだ。1人の教員で対応しなければならない。それでその対応している教員がつぶれても、個人の資質のせいにされる。2−3年前から、教育基本条例案がでる前からそういう状況だ。

競争激化で生徒の顔を見ない体制に

 学校の事務仕事が多くなって、減ることはなく余裕がない。若者だけでなく、ベテランも閉塞感。だからコミュニケーションの低下が大きくなっている。子どもたちにコミュニケーションを教えなくてはならない立場の人間が低下している。なぜか?お互いを助け合う体制が崩壊しつつあるからだ。
 校長達は公立高校の定数割れさせないために、中学はもちろん私塾へアピールしに行っている。また、橋下氏が府知事時代に2校に1億円づつ出している。「頑張ったから」だという。他の学校にはプレゼンテーションさせて競い合わせて、いいと思った学校に500万円出す。それを取れない校長は保護者に「何しているのか」といわれるだろう。ちなみに1億円取ったところはある高校のバレーボール全国大会優勝とある農業高校のバイオテクノロジーで2校賞を得た。それでお金取ったところはバレーボール部員だけでなく、他の生徒もバレー、バレーに力を入れさせられる。他の学校も「バレーボールをやったら一億もらえる」と思って、クラブで好成績をあげたり、成果を生み出すことにしか目がいかなくなる。
 ここまでの話は予算配分でどのように教育が代わるのかという話だが、条例ではお金だけでなく、中身も知事が決められるようになる。予算配分だけでも、今の話のように生徒に目を向けないようになっている。プレゼンテーションの合否を決めるのは知事とすれば、知事がOKを出すような提案をしなければならない。すでにそのような競争に駆られる中で「知事が目標設定をする」というのが始まっている。
 また、外面ばかりおっかけている状況は小学校もそうだ。学校のホームページの更新回数アップを求められる。どれだけ回数保護者にHPを見られているか。地域の特色を評価されるので、子どもにどう教えるかに無関心になる。連帯感なく、お互いの腹の探り合い。

人権教育できない状況へ

 在日韓国・朝鮮人の方たちが置かれる現状をテーマに教育の場を設けると「なぜ反日教育をするのか」と生徒からもいわれる。2、3年前からだ。
大阪市、道徳教育(事実上の人権教育)にチェックするという(同時に組合つぶしになっている)。管理職の言うことしかできない。何か工夫したりすると圧力がかかると思い、萎縮し何も出来なくなっている。

地域のコミュニティの崩壊につながる

 橋下氏は、小中一貫校を作ろうとしているが、その対象校はいずれも被差別部落にある。そこはコミュニティが強いのだが、そのようなところに「スーパー進学校」などができたら、コミュニティは崩壊する。それが橋下氏のねらいの一つではないだろうか。

【集会案内】
教育基本条例は何をもたらすか
〜東京と大阪の教育現場から〜

2月26日(日)
13:30-16:30 

阿倍野市民学習センター講堂
(地下鉄阿倍野駅すぐ、JR天王寺駅10分)

第一部 渡部謙一さん講演
 東京の教育改革で何が起こったのか
第二部 パネルディスカッション
 大阪の教員、保護者によるディスカッション

主催 「日の丸・君が代による人権侵害」市民オンブズパーソン/リブ・イン・ピース☆9+25
(2011年2月21日)
阪南中央病院労働組合 〒580-0023 大阪府松原市南新町3-3-28 TEL/FAX 072-331-1919
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